「BtoB」・「BtoC」とは、マーケティングについて勉強する上で重要な専門用語の1つです。響きが似ていることから、意味が混同しがちだという方は多いのではないでしょうか。
そこで今回は、BtoB・BtoCの主な意味やビジネスにおける違いなどの基本情報を詳しく解説!「マーケティングの基礎知識をつけたい」という方は、ぜひ本記事と一緒にBtoB・BtoCについて勉強してみましょう。
「BtoB」・「BtoC」とは?
BtoBとは「Business to Business」の略称で、いわゆる「法人営業」と呼ばれるビジネスモデルです。企業が別の企業に対して商品・サービスを提供する、企業間での取引のことを指します。
企業を対象にビジネスを行うため1つの商品の受注単価が高く、一度契約すると継続的な取引関係になりやすいことが特徴です。たとえば、工業製品や自動車のメーカーを顧客に部品などを提供する企業が、BtoBのビジネスを行う企業にあたります。
BtoCとは「Business to Consumer」の略称で、いわゆる「個人営業」と呼ばれるビジネスモデルです。企業が個人(一般消費者)に対して直接商品・サービスを提供する取引のことを指します。
BtoBと比べると受注単価が低い場合が多く、商品やサービスを売り上げた「量」が重要視されることが特徴です。コンビニやスーパー、百貨店はもちろん、ホテルや通信販売などのビジネスもBtoCに含まれています。
BtoB・BtoCのビジネスにおける違いは?
上記ではBtoB・BtoCがどのようなものなのかを説明しました。では、この2つのビジネスモデルは具体的にどのような点で違いが見られるのでしょうか。ここでは、主な3つの違いを解説します。
購入を決める判断基準の違い
まず、前述したようにBtoBとBtoCでは、購入する人と購入する商品・サービスの価格が大きく異なります。したがって、購入を決める判断基準にも違いが見られるのです。
企業が相手であるBtoBでは商品の実用性や魅力よりも、コストや品質が判断基準の1つになります。また、自社のビジネス推進・コスト削減などを目的として商品の購入を決めるため、より合理的な判断基準によって購入が判断されます。安い商品を衝動的に買ってしまっても損失の少ない個人と比べると、BtoBを行う企業はよりシビアな判断基準をクリアしなければ購入してもらえないのです。
一方、個人が相手であるBtoCでは個人の意思やニーズによって判断が行われます。価格の安さや実用性だけではなく、流行やその日の気分によっても購入が判断されることがあります。そのため、BtoBに比べると顧客の判断基準が広く、予測が立てにくいといえるでしょう。
購入サイクル
BtoBとBtoCでは購入する人や購入する際の判断基準が異なるのは、前述のとおりです。そのために、購入サイクルにおいても違いが見られます。
意思決定に多くの人が関わり、商品を購入するにあたって合理的な基準が設けられているBtoBの場合、購入するまでに長い時間を要します。一方で、個人による意思やニーズにより直感的に商品が購入されるBtoCの場合、短い時間でどんどん商品が購入されていくでしょう。そのため、BtoC企業はBtoB企業よりもさらに早いペースで、大量に新商品を投下しなければならないのです。
BtoB・BtoCそれぞれのマーケティング手法とは?
BtoBとBtoCは、商品・サービスを販売するために採用されるマーケティング手法にも、それぞれ違いが見られます。BtoBは顧客である企業の利益を伸ばすために、商品がいかに役に立つのかを合理的にアピールするマーケティング手法が採用されます。
一方、BtoCでは消費者である個人の感情に訴えかけるようなマーケティング手法をとることが一般的です。では、具体的にどのようなマーケティング手法が採用されているのかを紹介しましょう。
BtoBの事例①展示会
展示会は企業の該当する分野に興味を持っている来場者が多く訪れます。そのため、多くのBtoB企業が展示会への出展を行っています。ブースに立ち寄った来場者と直接話が可能になっており、上手くいけばそのまま商談に移行できるというメリットがあるでしょう。
BtoBの事例②ホワイトペーパー
ホワイトペーパーとは、リード(見込み客)の知りたい情報を資料としてまとめたものを指します。企業のサイトやメルマガで情報を配信することで新規リードの獲得、企業の認知拡大を目指します。メールで定期的に商品・サービスの情報などをやり取りすることで、相手の企業と信頼関係を築けることもメリットの1つです。
BtoBの事例③Web広告
IT化が進むにつれ、Web広告の重要性も高まっています。Web広告にはさまざまな種類があり、代表的なWeb広告として「リスティング広告」と「ディスプレイ広告」が挙げられます。
「リスティング広告」は検索したキーワードをもとに、検索結果の上下に表示されるテキスト形式の広告です。一方、「ディスプレイ広告」はWebサイトやアプリの広告枠に、画像やテキスト形式で表示されます。またスマートフォンが普及した現在では、TwitterやInstagramなどのSNS上で表示される「SNS広告」の重要性も高まっています。
Web広告は種類ごとに異なるメリット・デメリットがあるため、目的に応じて使い分けることが重要です。
BtoCの事例①マーケティングオートメーション
マーケティングオートメーションとは、AIが自動的にホームページや資料請求などのデータを収集・分析し、適したアクションを起こしてくれるツールのことを指します。
AIの客観的な分析により効果的なアクションを行うことができ、リードの獲得につながります。また、効率的にマーケティングを行えるため、人件費の削減も見込めるでしょう。
BtoCの事例②SNSマーケティング
InstagramやTwitterなどのSNSを活用し、商品・サービスの情報を個人に届け、リードの獲得を狙うマーケティング手法です。SNS広告や公式サイトの運用などにより情報の発信を行います。
若者をターゲットにする場合はInstagram、中高年層であればFacebookを使用すると効果的です。また、メルマガを送付し顧客を定着させたい場合はLINEがおすすめです。ターゲットの年齢層や目的に合わせて使い分けましょう。
BtoCの事例②コンテンツマーケティング
ブログ記事や動画など自社が作成したコンテンツを発信し、商品・サービスの購入につなげるマーケティング手法です。気になることがあればネットで検索することが当たり前になった現代では、効果的な手法の1つといえるでしょう。
SEO対策をしっかり行って、自社のコンテンツを検索上位に表示できるように工夫することが重要です。
BtoB・BtoC以外のビジネスモデル
BtoB・BtoCに関連する、他のビジネスモデルについても押さえておきましょう。以下では、主なビジネスモデルを3つ紹介します。
BtoE
BtoEとは「Business to Employee」の略称で、企業が従業員に向けて福利厚生や研修サービスなどを提供する取引のことを指します。オフィスの食堂やコンビニもBtoEに含まれます。従業員も消費者であるという点に注目し、便利なサービスを提供しようという取り組みです。
CtoC
CtoCとは「Consumer to Consume」の略称で、主にインターネットを介して消費者同士で取引を行うビジネスモデルです。例えば、メルカリやヤフーオークションがCtoCに該当します。企業は取引のためのプラットフォームを運営し、ユーザーから手数料を取ることで利益を得ています。
GtoC
GtoCとは「Government to Citizen(Consumer)」の略称で、行政から消費者である一般市民に対してサービスを提供する、ビジネスモデルです。例えば住民票やe-Tax、オリンピック・パラリンピックのチケット販売などがGtoCに該当します。必要な手続きを簡単に行えるシステムを、行政がサービスとして国民に提供しているのです。
まとめ
今回は、BtoB・BtoCの主な意味や違い、そのほかのビジネスモデルについて解説しました。BtoB・BtoCのマーケティング手法については、今回紹介したこと以外にも時代の流れによって大きく変化が起きています。
例えば、これまでBtoCではECサイトの利用が一般的でしたが、近年新型コロナウイルスの影響もありBtoBにおいてもECサイトを利用する事例が増えています。BtoB・BtoCに関わらず、デジタル化の流れに乗り遅れないことが重要です。
本記事をきっかけにBtoB・BtoCについて、より理解を深めてみてください。