近年、ライブコマースが注目を集めています。商品を販売する手段の一種で、従来の販売方法にはないメリットが存在していることが特徴です。しかし、どういった仕組みであるのかという部分やメリットについてご存じないという方も多いでしょう。
そこで今回は、ライブコマースのメリットなどについて、配信サービスとしての成功事例などを交えてご紹介いたします。売上を拡大したいという企業はぜひ参考にしてみてください。
ライブコマースとは
ライブコマースというのは、商品販売の新たな手段です。
これまでだと、店頭販売や通販、オンラインショップなどによる販売が一般的でした。そこに登場したのがライブコマースとなります。これはECサイトとアプリなどによるライブ配信を組み合わせたもので、商品の紹介などをライブ配信で行うというのが最大の特徴となります。
注目を集めている理由
近年注目を集めているライブコマースですが、その理由としてはまず「巣ごもり需要」が挙げられます。新型コロナウイルスが流行してしまったことで、できる限り対面での接触を避けるようになりました。その結果、オンラインでの消費が一気に増加することになったのです。
もう一つは「動画視聴が一般化した」という点です。動画配信に関してさまざまなアプリやサービスが登場しています。その結果、動画を視聴するということが多くの年齢において一般化しました。動画視聴が当たり前という認識になったことがライブコマースへのハードルを下げる結果となったのです。
従来の販売方法との違い
オンラインでの販売であれば、これまでにもオンラインショップなどのECサイトや通販が存在しています。
しかし、ライブコマースにはそれらとは異なる特徴が備わっているのです。それは「オンラインで店頭にいるかのような体験ができる」というものです。
ECサイトではご自身のペースで商品を閲覧して購入が可能です。しかし、画像やテキストなどで判断しなければならないため、届いた実際の商品を見たときにイメージと違ったという失敗も少なくないでしょう。
ライブコマースでは、ライブ配信にて商品を紹介し、リアルタイムで視聴しているユーザーからの質問などに回答することが可能です。気になる部分がその場で動画を使って解説してくれるので、安心して購入することができるでしょう。
たとえば洋服や靴であれば、サイズ感がとくに気になる部分です。細かい部分への質問に関しても気軽に行うことができ、その場で回答してもらえることで確信を持つことができます。
配信サービスとしての成功事例
従来とは違う画期的な販売方法であるライブコマースですが、実際に成功している事例が多く存在しています。これから始めるという場合には非常に参考になるでしょう。
中国では非常に浸透している
ライブコマースが注目を集めているのは日本だけではありません。なかでも中国に関してはとくに人気が高く、近年では右肩上がりで成長し続けている注目の市場となっています。
インターネット人口が約7.3億人と言われている中国において、半数近くがライブコマースでの購入経験があるのです。これは驚異的な数字で、中国はライブコマース先進国と言われています。
中国ではKOL(Key Opinion Leader)と呼ばれるインフルエンサーの存在が非常に大きくなっています。独身の日などのイベント時には、数時間で3億近くの売上を叩き出したり、年間で40億円以上売り上げたりしたKOLが存在しているほどです。一般ユーザーや企業だけでなく、政府も活用しています。
ライブコマースの成功事例
実際のライブコマースの成功事例ですが、まずは「アパレル系」が挙げられます。ファッションアイテムはサイズ感も非常に重要なポイントとなりますので、オンラインでの購入はリスクも伴っていました。
しかし、ライブコマースでは、スタイリングの提案をはじめ、スタッフやモデルがライブで共有してくれることでイメージがつきやすく、サイズ感などの質問に関してもしっかりと説明してもらえることにより間違いのない購入の後押しにつながっています。
コスメに関しても同様です。食品に関しても、お歳暮などのイベントに合わせてライブ配信を行うなど限定商品との相性は抜群です。企業など売り手側が発信する一方的な商品の説明ではユーザーが本当に知りたい部分に触れることがなかったりしますが、チャットなどでのリアルタイムの質問ができることで、細かい質問が出やすいジャンルの販売と相性がいいというのが成功している事例の共通点でしょう。
ライブコマースのメリット
急成長を遂げているライブコマースですが、具体的なメリットとしては以下のとおりです。実際にライブコマースを導入したとしても、メリットを把握していなければ効果を発揮することが出来ない可能性もあります。メリットを知ることが最大の効果に繋がるため、しっかりと把握するようにしましょう。
「体験」を提供できる
ライブ配信による体験を提供できるというのが最大のメリットといえるでしょう。ライブであることの臨場感や、他のユーザーが視聴しているという一体感はライブコマースでしか味わうことが出来ません。ご自身だけでなく他のユーザーが質問をすることもありますし、その回答がご自身にとってプラスになることも多いです。
オンラインショップなどのECサイトでの購入時には質問などがあってもお問い合わせから回答まで数日かかります。ライブコマースではその場で、かつ実際に商品を見せながら回答や説明がおこなわれますので、かゆいところに手が届きます。
購入に繋げやすい
ライブコマースは購入に繋げやすいというのもメリットの一つです。配信中に他のユーザーが購入した報告をしてくれることもあるため、それが購入を考えている方に対して後押しすることになります。
また、気になるポイントがはっきりしてから購入したいという方にとっても、リアルタイムですぐに確認ができることによりその場での購入を促進するポイントとなっているのです。
2019年に行われた調査によるデータでは、ライブコマース視聴をしたことがある方の中で50%が実際に商品を購入したことがあると回答しています。購入に対する心理的なハードルが下げられるというのがライブコマースならではと言える部分でしょう。
ユーザーの生の声を受け取りやすい
企業側にとって、商品の販売と同じくらい重要となるユーザーの生の声を受け取りやすいという点もメリットとなります。
チャット機能によって、ライブ配信を見ているユーザーは質問だけでなくその時の感情をコメントしてくれます。商品に対する本音が垣間見えたり、商品開発のヒントとなるコメントも含まれたりするでしょう。ユーザーに寄り添うことがいい商品開発に繋がりますので、その場での販売だけでなく、将来的な観点でも有益であるといえるでしょう。
まとめ
ライブコマースですが、ECサイトとライブ配信を組み合わせた新たな商品の販売方法です。
従来の販売方法ではあくまでも売り手側からの一方通行でしたが、ライブ配信によって相互コミュニケーションが可能となっています。ユーザーの声を直接受け取ることで新たなヒントを得たり、ライブという体験が購入促進へとつながったりするというのがメリットです。中国では右肩上がりで成長している分野ですし、今後日本においても成長する見込みとなります。早速企業でも取り入れてみることをおすすめします。