集客を増やしたい店舗や企業のオーナーは、ホームページを作成したり複数のSNSを運用したりして検索結果が上位になるように「SEO対策」についてしっかりと対策をしています。
ところが、検索上位に表示されるのは多くの場合、大きな企業やチェーン店です。そこで試したいのが「MEO」による集客です。MEOはSEOとはどのように違うのでしょうか。また、なぜMEOが集客に効果的なのか、どのようにMEOを進めればいいのか、MEO集客成功のカギをご紹介します。
まずはおさえよう!「MEO」とは何か?
まずは、「MEO」についての基礎知識やSEOとの違いについて押さえます。
「MEO」とは?
MEOとは、「Map Engine Optimization」の略称で、「マップエンジン最適化」という意味を持つ言葉です。「エリア名+施設名」で検索したときに、検索上位に表示されるための対策を指します。
たとえば、「横浜市 カフェ」で検索したときに、対象エリアである横浜市のカフェの情報が検索結果トップに一覧で表示されるでしょう。そして、それぞれの施設の「地図紹介」「施設名」「住所」「営業時間」「公式ウェブサイト」「ルート情報」が明記されます。
「MEO対策」とは?
「エリア名+施設名」で検索したときに表示される施設は検索トップ3の施設で、「さらに表示」をクリックすれば4位以降の施設も表示されるようになります。
トップ3に入れるか4位以下になるかで、ユーザーの目に留まる頻度は大きく異なります。そこでトップ3に表示されるように対策することが「MEO対策」です。
MEO対策とSEO対策の違い
検索上位を狙う施策として、SEO対策なら聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。一体、MEO対策と違いはあるのでしょうか。
SEO対策とは、検索エンジンでキーワード検索した際、自社のウェブページが上位表示されるための施策です。一方でMEO対策は、地図検索で自社の順位を上げることでプレゼンスを高め、来店に繋げる施策を指します。
どちらも検索上位を狙う点では同じため、MEO対策と似た意味で「ローカルSEO」という言葉も使われます。ただし、厳密にはこの2つも意味は異なるのです。ローカルSEOは、地域性に特化したSEOのことを意味します。
MEO対策が集客に絶大な効力を持つ理由
MEO対策によって集客に大きな効果が見込めるのは、どうしてでしょうか。次の3つの要因が考えられます。
スマホ利用者の増加
スマホが現在のように普及する前は、ネットで店を探すにも自宅のPCで検索するのが一般的でした。ところがスマホが普及すると、多くのユーザーがネットや地図アプリを使いスマホで店を検索するようになりました。自宅のPCとは違い、スマホは屋外でも使用できるのが特徴です。
屋外で「エリア+施設」を検索する人の多くは、来店意欲がすでに高まっている状態です。もしかしたら、検索してすぐに結果を見て来店しようと考えている人も多いかもしれません。そのように来店意思のある層をターゲットにアピールできる点で、MEO対策は非常に有効だと言えます。
SEOによる上位表示の難しさ
Googleのアップデートで、近年ではSEO対策によって検索上位を狙うことが難しくなってきています。ホームページの作成やSEO対策に莫大な費用を投じている企業もありますが、そこまで費用を割けない企業や店舗も多いのではないでしょうか。
ただ、Googleは地図アプリで検索しなくても、通常のGoogle検索をするだけで地図表示されるようになったのです。MEO対策をすることで、通常のGoogle検索をするユーザーにもアピールできる、つまりSEO対策にもつながるというわけです。
リスティング広告の掲載費・ポータルサイト掲載料の高騰
以前はリスティング広告で大きな効果があったものの、導入が簡単になった現在では簡単には効果が出なくなってしまいました。掲載費用も各業界で高騰が続いています。また、ポータルサイトも増加し、あれこれ利用すると掲載料もかさんでしまうことになります。
MEO対策なら、外注する手もありますが、基本的には自社で対策する分には無料です。
検索したユーザーの商圏内の店舗・サービスのみが表示される
通常、検索エンジンである店舗・サービスを検索すると上位は多店舗を展開する大手チェーンや大企業が占めてしまうものです。そのため、小さな店舗や企業が上位を狙うのは難しい状況です。
ところが、SEOでは大きな企業に勝てない場合でも、MEOなら大手企業相手でも十分互角に戦えます。というのも、MEOの場合にはユーザーが検索する商圏内での実店舗だけがライバルとなります。
しかも地図検索をした際の検索結果は、通常のSEO検索の結果よりも上に表示されます。検索順位1位よりさらに上に表示されるので、「検索順位ゼロ位」と言われる場所です。ここに表示されれば知名度・認知度のアップ、来客数アップにつながることが期待できます。
具体的なMEO対策の流れとは?
MEO対策で必須とも言えるのが、「Google Business Profile(ビジネスプロフィール)」への登録です。MEOに有効となる仕組みや機能が無料で利用できる、Googleの公式ツールです。
Google Business Profileに登録すれば、Google検索やGoogle Map検索の結果に表示されるようになります。そのため、MEO対策に非常に有効なのです。
使ったことのある地図アプリについての調査によると、「NAVITIME」が15.2%、「Yahoo!マップ」が44.5%なのに対し、「Google Map」は何と81.8%に上ることが分かりました。
このように、ダントツで使われている地図アプリのユーザーにリーチできるようになるのです。ここからは、Google Business Profileへの登録から、どのようにMEO対策を進めていけばいいのかを順を追って解説します。
Google Business Profileへの登録
Google Business Profileに「実店舗の名称」「住所」「電話番号」「営業時間」「公式ウェブサイトのURL」などの情報を登録します。写真を掲載するのも効果的です。情報量の多さは表示順位に大きな影響を与えます。
NAP情報をそろえる
NAPとは、N(Name:名称)・A(Address:住所)・P(Phone:電話番号)のことです。Google Business Profileに登録する情報の中でも、この3つの情報は他のSNSやウェブページとの揺らぎがないように、しっかり統一させる必要があります。情報の不備・不一致は、低く評価されることが分かっています。
口コミ数をアップさせる
Google Business Profileの口コミを増やせば、信頼性が高まります。口コミの投稿は、短縮URLを提示して促すことが可能です。QRコードを読み込んで書き込みしてもらうこともできます。ただし、口コミの投稿を強要するのは禁止されているので注意しましょう。
サイテーションを集める
多く検索されるだけでなく、SNSで多く言及されることでアルゴリズムに評価されてSEO効果が高まることを「サイテーション」と言います。
Google Business Profileに基本情報を登録したら、InstagramやTwitter、Facebookなど他のSNSで情報発信しましょう。そしてユーザーと多くコミュニケーションを取ったり話題にしてもらったりすることで、上位表示を狙えるようになります。
積極的に投稿する
Google Business Profileには、投稿機能があります。さまざまな情報を発信してアピールしましょう。主な投稿機能には「最新情報」「クーポン」「イベント」「商品」の1つが挙げられます。ボタンも設置でき、詳細情報へ誘導できます。
MEOによる集客成功のカギとは?
MEO対策の具体的な流れを紹介してきましたが、ここからは、MEO対策を進める中で気を付けたいポイントを紹介します。ただMEO対策をして終わりではなく、これらのポイントに気を付けることが集客成功のカギとなるのです。
ビジネス名に店舗名以外のキーワードを含めない!
効果的なMEO対策に必要な視点は、「ガイドラインのポリシーに違反しない」ことです。上位表示させたいキーワードがあるからと言って、ビジネス名に不自然にそのキーワードを含めてしまうのはご法度です。アカウントの停止、最悪の場合削除の恐れもあります。
過度にキーワードを盛り込むのはNG!
ビジネス名に加え、概要欄にも過度にキーワードを盛り込む必要はありません。文字数は限られています。簡潔に詳細を伝えられる適切な文章を心掛け、いたずらにキーワードを詰め込まない方が賢明です。
ビジネス名などを多言語に対応させる!
外国人観光客もターゲットに含む場合には、検索に使われるブラウザやデバイスの環境は英語や中国語など、日本語以外でしょう。Google Mapの情報についても、ユーザーの言語環境に合わせて表示されるようにする必要があります。多言語での入力は、Google Map上で設定します。
サードパーティーポリシーにも留意する!
サードパーティーとは、「当事者ではない第三者」という意味の言葉です。Google Business Profileにおいては、ビジネス情報の管理を代理することを許された代理人を指します。
アフィリエイトネットワーク事業者やMEO、SEOサービスを提供している会社などがサードパーティーに当たり、利用に当たってポリシーが策定されています。依頼先が、さまざまな禁止手法を使っていないかは確認が必要です。
口コミに適切に対処する!
口コミには丁寧に返信することで好感度をアップさせられるほか、Googleの評価も上げられる効果があります。「エリア+業種」で検索した際にGoogle Business Profileに登録した店舗がいくつかある場合、口コミの評価が高く件数が多い店舗の方が上位に表示されるのです。
口コミコメントをもらったら、早めに返信することを心掛けましょう。口コミ投稿者は、返信を期待しているものです。
また、ローカル検索をした人は、多くの場合口コミを参考に店選びをする傾向にあります。良い口コミだけでなく、悪い口コミに対しても真摯に返信することで、読む人に誠実さを印象付けられます。
否定的な口コミには、こちらに非がない場合でもまずは謝罪した方が好印象です。やり取りが長引きそうなら電話番号やメールアドレスなどを伝えて、1対1で対処するように誘導するのがおすすめです。
Googleアルゴリズムは、良い評価を高く評価するかと言えばそうではありません。良い評価と悪い評価のどちらにも価値があることがGoogleのヘルプ記事で明記されているのです。評価内容に一喜一憂するよりも、評価の件数が増えることこそ価値があると言えます。
写真を効果的に使う!
写真を掲載することで、テキスト以上の情報量を瞬時に伝えられるのが画像の強みです。実際に、写真を掲載した際の反応率はテキストの2倍以上だと言われています。Google Business Profileには名称と電話番号程度しか登録しない店舗もある中で、写真が豊富に掲載されていることで十分に情報が登録されていることの印象付けにもなります。
MEO対策が有効な業種・店舗とは?
業種・店舗によって、MEO対策が効果的かそうでないかは分かれます。どのような業種や店舗でMEO対策が有効なのでしょうか。
エリア(地域名・都道府県)とともに検索されている業種
検索する際に「エリア+業種名」で検索するローカル検索で探すような業種や店舗は、まさにMEO対策が有効になります。
商圏の幅が狭く地元に密着している業種・店舗
幅広くネット販売を展開している業種、チェーン展開している店舗ではなく、地元に密着している業種や店舗こそ、MEO対策が効果的です。とくにそのエリア内に競合する店舗が多いなら、ローカル検索で順位を上げないと、他の店舗に埋もれてしまうことになります。
実店舗の住所が分かりにくい店舗
実店舗の場所についてよく問い合わせがある場合は、場所が分かりにくい可能性があります。来店を促すのに場所が分かりにくいのはデメリットになってしまうのです。MEO対策をすることで検索結果の地図にルートを表示することも可能なので、客が道に迷わず来店できるようになります。
SEO対策がうまくいっていない店舗
SEO対策をするにはホームページの修正など費用が掛かることもありますが、MEO対策は初期費用が掛かりません。ローカル検索の結果は公式サイトのSEO評価も影響するので、SEO対策とMEO対策は両軸で対策するのが有効です。
SEO対策がうまくいっていない場合は、SEO対策に費用を掛けるより、MEO対策に取り組んだ方が効果を期待できます。
リスティング広告やポータルサイト掲載に多くの費用が掛けられない店舗
大きな企業ならリスティング広告やポータルサイトに費用を掛けてPRできるかもしれませんが、そこに対抗するのは予算上厳しいものです。MEO対策なら、基本的に費用は掛かりません。
MEO対策が効果的な業種とは?
具体的には「飲食業界」「漫画喫茶業界」「不動産業界」「美容外科業界」「美容・理容業界」「カーディーラー業界」「学習塾・予備校業界」などが、MEO対策との親和性がとくに高い業界だと言われています。
MEO対策の成功例は?
ここからは、MEO対策を行ったいくつかの企業・店舗の成功例を紹介します。どの事例も特別なことはしておらず、MEO対策におけるちょっとした工夫が成功につながっていることが分かるはずです。
関西の学習塾の例
エリア内での学習塾の検索トップを狙うためにSEO対策を行うと同時に、ビジネス情報に想定される検索ニーズを盛り込むことでMEO対策も行いました。
具体的には、ビジネス情報にターゲット層となる「小学生」「中学生」などの言葉や、指導方針である「個別指導」といった言葉を盛り込みました。SEO対策とMEO対策の相乗効果で、集客が大幅にアップした例です。
目黒の居酒屋の例
日本酒が評判の目黒の居酒屋では、写真を多く掲載するなどGoogle Business Profileの内容を修正することで、見事地図検索1位を獲得しました。不自然に盛り込んでいたキーワードを削除し、写真も充実させたことも功を奏しました。
横浜の建設会社の例
横浜市にある某建設会社は、いくつかの支店や営業所を擁しています。Google Business Profileにおいてこれらの支店や営業所の情報をきちんと区分けし、写真を多く掲載するようにしたところ閲覧者が倍増しました。とくにビジュアルマーケティングの効果は絶大だったそうです。
MEOの最終目的とは?
MEO対策の手法について紹介してきましたが、MEOにおける最終目的は一体何でしょうか。それは、検索したユーザーが店舗ビジネスについて理解し、来店者を1人でも多く増やすことです。順位を上げることは、決して最終目的ではないのです。
また、いくら来店者数が増えても、魅力や満足感を感じなければリピーターになってもらえません。店としての最大の魅力はどこなのかを分析し、その魅力を効果的にアピールして、来店してもらう手段としてMEOを使いましょう。
まとめ
MEO対策は、小さな店舗や企業でも検索上位を狙え、集客アップにつながるものです。ただし、効果が表れやすいからこそ、同じエリア内でも多くの店舗や企業がMEO対策に乗り出していることは想像できるでしょう。
そこで、同じエリアにある同じ業種・業態のライバルに差をつけるためには、ただMEO対策を行うだけでなく、ちょっとしたテクニックや工夫が必要となります。
集客アップを最終目標に、まずは自社の強み・最大の魅力は何かを把握するところから始めてみましょう。お店の魅力を発信できれば、徐々に客足が増えていくこと間違いなしです。