TikTokは若者向けのイメージですが、近年はビジネスでの活用事例が増えています。そのためこれから起業したり、立ち上げて間もなかったりする事業者にとっては、TikTokを集客に活かすことが重要です。
TikTokをビジネス向けに正しく使えば、そこから多くのユーザーが集まり、事業や商品を人気にできます。今回はTikTokを有効活用したい起業者のため、ビジネスへの活かし方をご紹介します。
TikTokがビジネスに使われる理由
TikTokがビジネスに使われるようになったのは、ユーザーの年齢層が広がったからです。参加型コンテンツを流せるしくみや、投稿と広告の区別がつきにくいことも要因でしょう。TikTokがビジネス向きだという理由を、以下に3つ紹介します。
ユーザーの年齢層が広がっている
最初の理由は、TikTokユーザーの年齢層の広がりです。近年は20~30代も積極的に動画をアップしています。40代のヘビーユーザーも見られるほどです。以上からTikTokは、ビジネス活用の選択肢になります。
企業によってメイン顧客の年齢層は違います。しかしTikTok自体が、幅広い層に認知されているので、多くの企業がそこから顧客を集めるチャンスです。TikTokが世間に認知されたことで、企業も活用しやすくなったのでしょう。
ユーザー参加型コンテンツを配信できる
TikTokでは、ユーザー参加型コンテンツも配信できます。ユーザーが興味を示すだけでなく、企業に協力もできます。企業はハッシュタグや動画、呼びかけなどで視聴者のリアクションを引き出せるのです。
ユーザー参加型コンテンツは、ハッシュタグチャレンジが代表例になります。特定のハッシュタグとテーマに合わせて、ユーザーが動画を流すしくみです。このようなキャンペーンで、フォロワーが増えるかもしれません。
世間の興味を引き寄せるには、参加型コンテンツがおすすめです。これをきっかけに、ユーザーとコミュニケーションを取れます。
投稿と広告の区別がつきにくい
最後のポイントは、投稿と広告の区別がつきにくいことです。TikTokでは、動画と同じように広告も流れてきます。このメカニズムを活かして、多くのユーザーに広告を見てもらえるのです。
TikTokは、基本的に全画面表示で動画が流れます。上下スワイプで動画を切り替えられるので、そのなかで広告が画面に飛び込んでくるしくみです。このような体験をするユーザーを増やせば、宣伝効果を生み出せます。TikTokの性質を活かし、積極的な広告宣伝が可能です。
企業によるTikTok活用のメリット
TikTokは企業にとって、動画配信以外にも役立ちます。ユーザーの動向やトレンドの把握、潜在層へのリーチなどが代表例です。また効率的な宣伝だけでなく、顧客リサーチにも向いているのです。
TikTokのユーザー動向から戦略を決められる
企業がTikTokを使えば、ユーザーの動向から経営戦略を決められます。ビジネスアカウントにアクセスするユーザーについて、属性傾向がわかるからです。性別や年齢などから、顧客のメインターゲットを決められます。そこから企業の方向性や、新商品の宣伝方法などもわかるでしょう。
ビジネスアカウントでは、ユーザーの視聴時間もチェック可能です。視聴時間の長いタイミングを見つければ、そこを狙って動画を流せます。このようにTikTokはビジネスマーケティングにも有用です。ユーザーの動向を読みながら、ビジネスの方向性を決められます。
トレンドがわかる
TikTokのビジネスアカウントから、トレンドを調べられます。該当アカウントは、動画ショーケースを視聴可能です。そこには企業情報や人気インフルエンサーの動向がまとめられています。
TikTokから顧客を招くには、動画ショーケースを参考にしてください。一般視聴者だけでなく、有名人の動画を確かめれば、注目のコンテンツがわかります。ここから業績向上のヒントを得られるでしょう。SNSマーケティングの成功を目指すなら、有名人の先例を参考にしてください。
潜在層にリーチしやすい
TikTokは潜在層へのリーチもメリットです。潜在層とは、特定商品を検索するほど興味を示していないグループです。TikTokのメカニズムを使えば、とくに何も考えていない人にも、商品の魅力を伝えられます。
TikTokは視聴者の利用傾向をもとに、動画が次々と自動再生されるしくみです。アルゴリズムが特定ユーザー向けに、おすすめ動画を決めています。これに乗じて自社コンテンツが再生されれば、ユーザーを呼び寄せられるかもしれません。TikTokのメカニズムをうまく使えば、潜在層へのアプローチも可能です。
広告動画を作りやすい
TikTokの強みは、手軽に広告動画を作れることです。その手順は、まず商品楽曲ライブラリーからの曲選択で始まります。そこに動画や画像、テキストを組み合わせればよいのです。デジタルコンテンツが得意でない方も、短時間で作れるでしょう。
企業の従業員によっては、動画配信の経験がありません。デジタルコンテンツを始めたくても、本来は踏み出しにくいでしょう。しかしTikTokは動画作成プロセスが簡単なので、投稿を始めやすいといえます。企業として初めてデジタルマーケティングをするなら、TikTokが有力な選択肢です。
TikTokのビジネス活用で成功するには
TikTokビジネスで成功するには、さまざまなコツがあります。まずはテーマの統一です。次におすすめ動画から傾向を確かめましょう。ほかにもハッシュタグや、投稿のタイミングなどの工夫が大切です。
テーマを統一
まずはビジネスアカウントとしてのテーマをまとめてください。テーマがバラバラだと、目的をユーザーにわかってもらえません。アカウントを作ると決めたら、コンセプトをひとつにまとめてから、投稿を始めましょう。
企業アカウントのテーマは、商品PRや社員紹介、職場の紹介などがあります。ここからテーマをひとつに絞り、さまざまな視点で掘り下げましょう。
このような取り組みで、専門性が高まり、ユーザーの心をつかみやすくなります。ユーザーに興味を示してもらうには、明確なコンセプトが大切です。動画を作る前に、社内でしっかりと打ち合わせましょう。
おすすめ動画から傾向を把握
TikTokマーケティングの成功には、ほかのバズった動画を参考にしてください。そこから成功の理由がわかれば、類似のテクニックを実践できます。これがユーザーの興味を引きつけるかもしれません。
動画を考える前に、人気コンテンツの傾向を調べておきましょう。具体的には楽曲、投稿ジャンル、ハッシュタグなどからトレンドがわかります。トレンドを参考に動画の方向性を決めましょう。TikTokもYouTubeやInstagramなどと同じく、人気事例の参考が欠かせません。
適切なハッシュタグの設定
TikTokでは、ハッシュタグの使い方も大切です。こちらのトレンドを踏まえれば、ヒットコンテンツを作れるかもしれません。おすすめ動画からのユーザーの合流に加え、検索エンジンからのアクセス増加も見込めます。
ここで注意すべきなのは、ハッシュタグと動画内容を合わせることです。トレンドだからといって、関係のない動画にハッシュタグをつけても、視聴回数を伸ばせないでしょう。ハッシュタグは、トレンドを踏まえながらも、内容に合わせて選んでください。
ユーザーが集まりやすい時間帯に投稿
TikTokでの視聴数を増やすには、時間帯も要チェックです。平日午前7時~9時、または18時から深夜、土日祝日がおすすめです。ユーザーの生活状況に合わせて動画を載せましょう。
たとえば午前中は朝の通学や通勤時間です。電車に乗っている間にTikTokを見る人もいます。学校や仕事が終わったあとや、それらがない時間帯でも、スマートフォンを見る人が多くなるでしょう。
世間にはスマートフォンを使いやすい時間帯があります。ここからTikTokの投稿タイミングを決めてください。
視聴者参加型の内容を考える
TikTokでビジネスアカウントを使うなら、視聴者参加型の内容を考えてください。マネしやすい踊りの公開、ハッシュタグチャレンジ、インフルエンサーのお手本動画などが代表例です。
たとえばエンタメ業界では、毎年マネしやすい踊りが話題になるでしょう。こちらの有効活用で、ユーザーが企業に食いつくかもしれません。
またハッシュタグチャレンジは、ユーザーに特定ハッシュタグをつけた投稿を呼びかけるものです。こちらも顧客から手軽な協力を得られるので、情報拡散につながります。これらを踏まえ、視聴者のリアクションを引き出せる投稿を心がけてください。
積極的にユーザーとコミュニケーションをとる
最後のコツは、ユーザーとのコミュニケーションです。信頼関係の構築で、視聴数や「いいね」を稼げます。この積み重ねによって、業績がどんどん上がっていくでしょう。
たとえば企業自身がコメントにリアクションすれば、そこから話題が広がるかもしれません。基本的な手法は返信ですが、それだけでなくコメント内容をもとに新しい動画を作るのもおすすめです。
このような取り組みで、ユーザーからの反応を引き出せます。TikTokで支持を集めるには、ユーザーとの距離感を詰めましょう。
TikTokのビジネス利用事例と成功の要因
近年はさまざまな企業が、TikTokを使っています。ここでは成功事例に注目して、うまくいった要因を考えましょう。代表例を6社紹介します。
株式会社Koiniwa
株式会社Koiniwaは、ゲームやマッチングアプリを展開しています。同社が取り組んだのが、インストールキャンペーンです。そこではTikTokで、ストーリー仕立てのクリエイティブを複数公開しました。これにより広告費用対効果を過去の1.3倍に伸ばしています。
ここでの成功要因は、ブランドメッセージをストーリーに落とし込んだことです。Koiniwaのブランドメッセージとは「ゲームをしていたら、恋人ができた」というものです。これをストーリーによって、視聴者にわかりやすく伝えたのがよかったのでしょう。
Koiniwaのように、先が気になる展開を見せて、ユーザーを呼び寄せる手法もあります。
アイフル
アイフルは大手消費者金融会社です。2022年2月からTikTokを使っています。テレビCMを再活用したヨコ型動画により、活用後のサイト来訪者は約3倍になりました。
もともとCMの話題性もあって、TikTokでもユーザーを呼び寄せられたのでしょう。この手法は、すでにTikTok以外のSNSを使っている事業者に向いています。TwitterやInstagramなどでバズったコンテンツを、TikTokにも応用できるからです。
これがうまくいけば、客層拡大につながります。アイフルの事例は、複数のメディアを使ったマーケティングの参考になるでしょう。
コカコーラ
コカコーラは2018年12月に「#リボンでありがとうチャレンジ」を展開しました。TikTokでよく見られるハッシュタグチャレンジです。コカコーラの場合は、ユーザーからの投稿を、視聴者の屋外ビジョンで放映しました。さらに投稿者のうち100名には、1000円分のクオカードをプレゼントしています。このキャンペーンによって、多数のユーザーを呼び寄せました。
ハッシュタグチャレンジをするときは、参加者に一定の見返りがある方がよいでしょう。たとえばクオカードは買い物に使えるので、受け取ったユーザーは得した気分になります。参加型コンテンツとキャンペーンの組み合わせが、コカコーラの話題性につながったのでしょう。
ほっともっと
ほっともっとのTikTokアカウントは、商品である弁当の盛りつけがメインです。動画ではTikTokで人気の音源を使っています。それに合わせて盛りつけを表現しました。ユーザーからの支持を受けた結果、ひとつの投稿で100万回以上の再生も見られます。
ほっともっとの成功要因は、ありふれた風景に人気音源をうまく絡めたことです。弁当の盛りつけに音楽を絡めるだけでも斬新といえます。加えて音源がTikTok内で人気で、それに合わせた表現にも親近感があります。これからマーケティングを始める事業者も、TikTokの音源を使った見せ方を考えましょう。
TikTokのビジネス活用での注意点
TikTokのビジネス活用では、さまざまな注意点があります。まず楽曲使用では、商用ライセンスが必要です。ステルスマーケティングや違法行為などによる炎上リスクにも気をつけましょう。
楽曲使用には商用ライセンスが必要
TikTokの楽曲使用では、商用ライセンスが必要です。ライセンスのない曲を使った動画は、原則投稿できません。曲を使う前は、TikTokで使用可能かを確かめてください。
使える楽曲は、あらかじめ商用利用を認められています。そのため企業がわざわざライセンスを取りにいく必要はありません。
ライセンスのある楽曲は50万を超えるので、好みに応じて選べます。いずれにしてもTikTokでの楽曲使用時は、ライセンスチェックを忘れないでください。
炎上リスクに注意
TikTokビジネスアカウントでは、炎上リスクに気をつけてください。炎上によって企業にマイナスイメージが定着するからです。そこから信頼を取り戻すのは難しいでしょう。
たとえばジェンダーや人種、法令違反などに触れる投稿が、炎上しやすいとされます。他人を傷つける表現を、投稿者が気づかずにやってしまうケースにも注意が必要です。そのため投稿前には、多方面から内容を見直しましょう。
ステルスマーケティングはしない
TikTokでは、ステルスマーケティングをしないように注意が必要です。たとえば商品PRのためにインフルエンサーに対価を払ったとします。それを隠して、あたかもインフルエンサーがもとから好んで使っているように見せかけると、ステルスマーケティングとみなされるおそれがあります。
このような行為は、景品表示法で禁じられた優良誤認などのおそれがあるので、控えるようにしましょう。優良誤認も法令違反の一種なので、企業へのマイナスイメージにつながります。TikTokで広告やPRをするときは、その趣旨を明らかにしてください。
まとめ
TikTokは、かつては10代向けのイメージが強かったのですが、最近は年齢層拡大を受け、ビジネスに活かしやすくなりました。事業者はテーマをはっきりとさせ、トレンドを踏まえた投稿を心がけてください。ハッシュタグや投稿時間などの工夫で、多数のユーザーを呼び寄せられるでしょう。
バズる動画を作るには、先例を参考にしてください。有名企業の成功例に加え、トレンド動画の傾向などを確かめましょう。TikTokマーケティングの成功には、世間の関心をとらえたコンテンツ作りがポイントです。