マーケティング

地域密着型の集客法!店舗マーケティング&エリアマーケティングとは

近年主流になりつつあるSNSマーケティングや、全国放送でCMを流すようなマスマーケティングは、どんな店舗・施設にも有効かというと実はそうではありません。とくにマスマーケティングは莫大な広告費もかかり、小売店など地元密着型の店舗には現実的ではありません。

そこでおすすめなのが、店舗マーケティング、そしてエリアマーケティングです。これらのマーケティング手法は、地域密着型の店舗・施設だからこそ有効だとも言えます。そんな店舗マーケティング、エリアマーケティングについて解説していきます。

「マーケティング」とは?定義や種類をおさらい

まずは、「マーケティング」とは何かについて定義や種類をおさらいしていきます。

マーケティングの定義

“マーケティング”とは、「商品・サービスが売れる仕組みをつくること」だと定義されます。一方の”セールス”とは、「商品・サービスを売るための努力」を指します。その実現のために「売り上げ目標〇個」「商談〇件」などという具体的な数値目標を設定します。

マーケティングは「売れる仕組みづくり」のために、「顧客ニーズの理解」や「顧客に合わせた商品開発」などを行うことです。商品開発から始まり販売戦略の決定、広告宣伝、効果検証までの一連の流れ全てが「売れる仕組み」と言えます。

セールスは、属人的な努力によって売ることに焦点が当たりがちです。一方でマーケティングは、顧客視点で考えることで販売する人の能力や努力に関わらず売れる流れを作る点が違います。

マーケティングの種類

マーケティングには、さまざまな種類があります。一口にマーケティングと言っても、対象の消費者や販売手法などによって効果的な手法は異なるからです。

広く大衆向けに大量に販売するのは「マスマーケティング」と呼ばれ、新聞や雑誌、テレビCMなどが使われます。DMや電話などで顧客と直接的にコミュニケーションを取りながら行うマーケティングは「ダイレクトマーケティング」です。

その他にもInstagramやTwitterなどの自社アカウントを作成して行う「SNSマーケティング」や、意図的に過激なプロモーションをして話題を集める「炎上マーケティング」まで、多種多様なマーケティングが存在します。

「店舗マーケティング」とは?

マーケティングは、対象とする消費者層や販売手法、店舗の規模や業種などによって効果的なものが異なります。それでは「店舗マーケティング」とは、どのようなマーケティングでしょうか。定義や必要性、目的について解説していきます。

店舗マーケティングの定義

「実店舗マーケティング」とは、実店舗で行われるマーケティングのことで「インストアマーケティング」とも呼ばれます。小売店において広告活動や販売活動を最適化し、消費者の購買意欲を促して売り上げを伸ばす目的で行われます。

店舗マーケティングの必要性

「モノが売れない時代」と言われるようになって久しく、インターネットの普及によって商品の販売形態も随分変化が起こりました。そして「マスマーケティング」のようにターゲットを限定せず広くプロモーションをする従来からの手法も、成立しにくい時代になりました。

元々マスマーケティングのような大規模なマーケティングは、地元に密着したような小売店舗には向いていません。莫大な費用がかかる割に、実際には実店舗に足を運べないエリアの人々に対しても働きかけており、費用対効果があるとは言えません。それよりも地元の実情に合わせたマーケティングが必要です。それこそが、「店舗マーケティング」なのです。

店舗マーケティングの目的

店舗マーケティングの目的は、「売り上げのアップ」です。売り上げとは、「客数×客単価」で求められます。この「客数」は、「新規客」と「リピーター」が含まれます。「客単価」は、「商品単価」と「購入数」を掛け合わせたものです。

店舗の売り上げをアップさせるには、新規客・リピーターを増やす戦略、商品単価と購入数を増やす戦略が必要になります。

店舗マーケティングの流れ

店舗マーケティングを実際に行う場合、どのような流れでどのような施策を行うのでしょうか。

エリアマーケティング

店舗マーケティングのターゲットとなるのは、「商圏」に住む人々です。商圏とは、来店が見込まれる地理的範囲のことです。通信販売やECサイトなら全国どこに住んでいる人でも利用してもらえますが、小売店ではそうはいきません。いかに商圏内に住む人に来店してもらうかが重要です。

その商圏についての分析を行うことを「エリアマーケティング」と言います。このエリアマーケティングについては、後の章で詳しく解説します。

市場に応じた商品の仕入れや開発

エリアマーケティングが済んだら、商圏における市場調査の結果を反映させた仕入れや開発を行います。

たとえば商圏に単身サラリーマン用の賃貸物件やオフィスがあるから〇〇〇を多く仕入れる、お年寄り世帯が多いから薄味で調理が簡単な料理キットを開発するなど、地域における消費者ニーズに応じた売り場づくりが叶うでしょう。

来店客にとって購買意欲が掻き立てられる店は魅力的であり、顧客満足度や売り上げアップにつながります。

競合他社との差別化

「この店だから行きたい」と思ってもらうには、商品の仕入れや開発以外にも商圏内にある競合他社との差別化を図る必要があります。他社にはない付加価値を付ける手立てとしては、取り扱う商品やスタッフのサービス、購入回数に応じたクーポンを配布するなどの「ロイヤリティプログラム」が代表的です。

その他にも近年注目を集めているのが「顧客の購買体験」です。子どもに人気のキャラクターが描かれたショッピングカートがあれば、買い物中も子どもが飽きることなく親子で楽しく買い物ができます。

子どもが「自分でも買い物がしたい」という気持ちを満たせるように、小さな買い物カゴや子どもが押せる小さなカートも有効です。これらがあれば、多店舗では、子どもとゆっくり買い物ができない親は多少遠くても、他社ではなくこの店舗を選んで買い物に行くことでしょう。

需要や売り上げの予測

エリアマーケティングで得られた分析データをもとに、需要や店舗の売り上げの予測を立てます。売り上げの予測がある程度でも立てられたら、コスト管理や仕入れなどに役立てられます。在庫量が適切に保てれば店舗運営もスムーズに進められ、取り扱う商品のラインナップを増やしたり新商品を開発したりする際の参考にもなるでしょう。

プロモーション

マーケティングというと、このプロモーションばかりがフィーチャーされがちですが、実は店舗マーケティングにおいてプロモーションは最終段階です。

インターネットの普及もありプロモーション方法は変容しているものの、実店舗マーケティングにおいては従来からの手法が有効なケースも多々あります。実店舗プロモーションの具体的な方法については、後の章で詳しく紹介していきます。

エリアマーケティングとは?

店舗マーケティングにおいて最初に行う「エリアマーケティング」は、商圏の特徴を捉えマーケティングに活かす非常に重要な施策です。ここからは、エリアマーケティングについて見ていきましょう。

エリアマーケティングの定義

エリアマーケティングとは、地域ごとに異なる市場特性を分析することで、特定のエリアに特化したマーケティングを行う手法のことです。「地域密着型マーケティング」と呼ばれることもあります。

店舗マーケティングとの関係

店舗マーケティングは特定エリアに特化して行うものであり、その施策の最初に行われるのがエリアマーケティングです。エリアの特性をマーケティングの観点からさまざまな分析を行うことで、その結果が以後の施策に大きく活かされます。

エリアマーケティングにおける商圏分析

エリアマーケティングとは、当該店舗・施設のある商圏について多角的に分析してマーケティングに活かす手法です。具体的に、商圏のどのような事柄を分析していけばいいのでしょうか。次の6つが挙げられます。

マクロ環境分析

商圏の全体像を俯瞰で見た時の地域特性の全体像が、マクロ環境です。商圏における人口(人口統計・人口分布・昼夜間人口差)や世代構成・年代構成、学生数や高齢者数などを把握すれば、世代や人口の変化が予測できます。こちらは国勢調査のデータが利用できます。

顧客分析・環境分析

商圏における人口数・年齢・性別の割合といった消費者の属性を把握すれば、消費者属性に応じた商品開発やサービスを考えられます。新商品開発の参考にもできます。

また、交通網や公共交通機関といった環境を調べれば、人流が把握できるのです。徒歩・自転車・自家用車・電車・バスなど、どのような手段で来店する客が多いのかを予測でき、マーケティングに活かせます。

人口から、当該エリアの成長性も分析できるでしょう。おおよその人口が増加していれば市場規模は拡大、減少していれば市場規模は縮小傾向になると予測されます。

ライフスタイル・消費行動分析

学生が多く居住していれば、お菓子一つとっても新商品を試したい、SNSで話題になっているものを食べてみたいと考える人が多いでしょう。中高年が多い、高齢者が多い場合も同様に、その年代ごとの消費行動に特徴がみられます。

また、商圏において昼夜人口差が大きければ、別のエリアから通勤・通学して来る人が多い、または別のエリアに通勤・通学する人が多いと考えられます。その移動において電車が主に使われているなら、交通系のICカードを使用している率も高いと考えられ、交通系ICカードによる決済を取り入れると需要が高まりそうです。車が多く使われているなら、ドライブスルーや広い駐車場が喜ばれるでしょう。

このように商圏に住む人々のライフスタイルや消費行動を分析することで、より具体的な商品の品ぞろえやサービスが絞られてくるのです。

競合分析

実店舗を経営していくうえで、競合分析は必要不可欠です。商圏内における競合他社の分布、市場シェア率などの基本情報を押さえましょう。

店舗数や立地、売り場面積、営業時間、サービス内容などの情報から、商圏の消費者が競合他社を利用する理由を探ります。そうすれば自社に必要な条件が見えてきます。

生活習慣分析・風習分析

その土地ごとに祭りなどの行事があって、一時的に多く使われる商品があるかもしれません。料理の味付けや料理に使う材料も、その土地ごとの風習があるものです。このような風習に応じた仕入れや品ぞろえは、消費者のニーズに応じるのはもちろん、地域性が高く親しみやすい店だと認識してもらえることでしょう。

また、雪が多いエリアなら、冬場は出かけるだけで一苦労のはずです。冬はまとめ買いする人が多いことが考えられます。一般的には冷たいまま食べる料理も、寒い地域では温めて食べるといった風習があるかもしれません。雪国ならではの装備品や必需品もいろいろあるでしょう。

このような生活習慣や風習は、統計資料などを見ても分かるものではなく把握が難しいのも確かです。気候や地形をヒントに、可能な限り調べるのがおすすめです。

商圏バリア調査

「商圏バリア」とは、消費者が来店する際に障害となる可能性があるもののことです。たとえば、山や河川などの地形、線路や駅、幹線道路などの交通条件、大型商業施設や競合他社の有無などさまざまなものが、商圏バリアとして考えられます。

立地条件が悪くても、競合他社が少ない場合には商圏バリアとならない場合もあります。現地に実際に出向いて調査しましょう。

店舗マーケティングに効果的な広告手法

マスマーケティングは規模が大きく莫大な費用も掛かり、店舗マーケティングに有効な広告手段だとは言えません。それでは、店舗マーケティングにはどのような広告手法が向いているのでしょうか。

看板

看板は、意図的に凝視することはないものの毎日何となく目に入ることで刷り込み効果が得られます。そのためには、よく目に入る立地や位置に設置する必要があります。また、場所が分かりにくい店舗の場合、道順が分かるように看板を設置するのも有効です。

ただしあまりに設置数が多い看板は、主張の激しさを感じて嫌悪感を持たれてしまうので要注意です。商圏外に設置しても効果が薄いので、商圏内に設置しましょう。

新聞折り込みチラシ

商圏内の各家庭に確実に広告を配布できるのが、新聞の折り込みチラシです。新聞は信頼性の高いものだと考える人が多いので、折り込みチラシが入る店舗も信頼を得やすくなるメリットがあります。

新聞折り込みチラシは古くから用いられる広告手法ですが、近年新聞を購読する世帯が減少し、とくに若年層の購読者数は減少が著しいと言われています。商圏にファミリー層や高齢者層が多い場合に用いるのがおすすめです。

WEB広告

SNSや検索結果ページなど、インターネット上に打ち出すのが「WEB広告」です。WEBによる広告というと地域関係なく全世界に向けてのものだと思われがちですが、地域密着型の店舗マーケティングにも大いに活用できます。それは「リスティング広告」です。

リスティング広告とは、検索したキーワードに関連して指定広告を表示する仕組みのWEB広告です。たとえば「地名+カフェ」で検索した時に、検索上位に表示させられます。新聞を購読しない代わりにスマホを多用する若年層に有効な広告手法だと言えます。

Googleビジネスプロフィール

「Googleビジネスプロフィール」は、Googleの検索結果やGoogleマップに店舗・施設についての情報が掲載できるサービスです。店舗の概要や電話番号、営業時間や休業日などの基本情報はもちろん、ユーザーの口コミや写真なども掲載されてユーザーの来店を促すのに有効です。

ポスティング

新聞を購読していない世帯にもチラシを配布する手段が、ポスティングです。商圏のエリアを指定してチラシをポストインできます。商圏内の世帯に効果的に広告を打ち出せ、紙媒体なので手元に残しておけるのもメリットでしょう。

ただし多くのポスティングチラシとともに捨てられてしまう可能性も十分にあります。来店時に使えるクーポンをつけるなど、チラシ自体にメリットを持たせると捨てられるのを避けられます。

のぼり

店先にのぼりを出せば、店舗の目印になるとともに盛り上がった雰囲気を創出できます。営業中を知らせるのぼりや店の名物メニューを知らせるのぼり、「本日ポイント〇倍デー」などとキャンペーン開催中を知らせるのぼりやセール中ののぼりなど、のぼりにはさまざまなものがあります。

まとめ

マーケティングというと、いかに広告してアピールしていくかの戦略だと思われがちです。ところが実際は、店舗マーケティングならエリアのマーケティングから始まって、競合他社の差別化や売り上げの予測などさまざまな調査・分析を行った上で、最終的に広告を行います。

小売店にとって有効な店舗マーケティングは、商圏を徹底的に調べるエリアマーケティングをもとに、地元密着型の店舗を展開することで売り上げアップを実現させましょう。

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