美容院や飲食店、病院やスーパーなど、地域に根差した店舗で今、MEO対策は必須となっています。なぜなら実店舗を利用しようとした時に、当たり前のようにGoogle検索を行うことが分かっているのです。
検索結果の上位にある店舗は注目を集めるので上位を目指すのも大切ですが、ユーザーが参考にしているのは「口コミ」だということも分かっています。そんな重要な口コミですが、悪質な口コミが書かれてしまうことも考えられるのです。そこで今回は、そんな悪質な口コミへの対処法について解説します。
Googleマップの「口コミ」とは?
そもそも、Googleマップの「口コミ」とは、どのようなものなのでしょうか。
Googleビジネスプロフィールの「口コミ」とは?
「Googleビジネスプロフィール」は、Googleが提供する無料の情報管理ツールのことです。店舗や施設、会社がGoogleビジネスプロフィールに登録すれば、Google検索結果やGoogleマップ検索結果で表示される情報を管理できるようになります。業種や住所、電話番号や営業時間、メニューやサービスなどの基本情報や写真などが登録でき、集客アップが期待できる機能なのです。
ビジネスに活用可能なGoogleビジネスプロフィールですが、来店したりサービスを利用したりしたユーザーが、その企業・店舗を評価したり口コミを投稿したりできる機能もあります。具体的には「口コミを書く」から口コミと5段階評価を投稿できるようになっています。
Googleマップの口コミは集客に影響する?
気になっている企業・店舗がある場合、多くのユーザーが事前に検索して口コミを参考にすることが分かっています。とくに実際にサービスを利用したり来店したりしたユーザーの口コミは、来店するか利用するかの重要な判断材料となるのです。
その際に、企業・店舗のサービスや製品などに対してネガティブな口コミがあった場合、集客に悪影響が生じることは必然と言えます。放置せずに迅速に対応する必要があるでしょう。
MEO対策としても口コミ対策は重要!
MEOとは「Map Engine Optimization」の略です。「エリア+業種」で検索した際にGoogleマップで上位表示を目指すためのSEO対策を指していますが、近年はGoogleマップのレビュー対策も行われるようになっています。
その理由としてはGoogleマップ内での検索順位が上位になったとしても、口コミやレビューの内容によっては予約・来店などの行動につながりにくいためです。
Googleマップの口コミは削除できる?
一度掲載されたGoogleマップの口コミは、削除できるのでしょうか。結論から言えば、口コミは削除できます。「悪い口コミのせいで築き上げてきたものが台無しになった」「誹謗中傷の書き込みをされたからもう終わりだ」と思う必要はないのです。
ただしそれには条件があり、条件を満たさない口コミは削除できません。Googleの設けたポリシーに反する口コミは、Googleに申請すれば削除が可能です。また、裁判所に訴えたり投稿者本人に削除を求めたりする方法もあります。次の章からは、削除の方法をそれぞれ詳しく解説していきます。
Googleマップ経由で悪質な口コミを削除するには?
Googleのユーザーとして、Googleマップ経由で悪質な口コミが削除申請できます。
①自店舗のGoogleビジネスプロフィールに移動する
まず、Google検索を使って、自店舗名を検索します。そして、自店舗のGoogleビジネスプロフィールへ移動します。
②口コミ一覧を表示させる
検索結果画面の右側に店舗情報が表示されるので、「Googleの口コミ」を選択して口コミ一覧を表示させます。
③3点リーダーをクリック
表示された口コミを見て見ると、口コミごとに右上部に縦に3つ並んだ点(3点リーダー)が見つかるはずなので、これをクリックしましょう。
④「レビューを報告する」を選ぶ
3点リーダーをクリックして選択項目がプルダウンし、その中の「レビューを報告する」をクリックします。
⑤理由を選択し「報告を送信」
「レビューを報告する」をクリックすると、「この口コミを報告する理由」として選択肢が表示されるので、該当するものにチェックを付けて送信すれば完了です。
ビジネスオーナーの立場から口コミの削除申請をするには?
Googleビジネスプロフィールに登録しているなら、ビジネスオーナーとして削除が申請できます。
①Googleビジネスプロフィールを開く
まずGoogleビジネスプロフィールにログインし、「管理画面」を開きます。
②3点リーダーをクリック
管理画面の右上部にある縦に点が3つ並んだ「3点リーダー」をクリックします。
③「フィードバックを送信」を選ぶ
プルダウンされる選択項目のうちの「フィードバックを送信」を選択します。
④「問題を報告」をクリック
表示される項目のうち、「問題を報告」を選択してクリックします。
⑤「口コミの削除」をクリック
どのような問題をGoogleに報告するのかの選択肢が表示されるので、「口コミの削除を管理する」を選択してクリックしましょう。
⑥具体的に問題を記載し送信
「問題について記載してください」という欄があるので説明文を分かりやすく記載するとともに、可能なら「スクリーンショットをキャプチャ」をクリックして画像を添付します。
Googleの法的な専門窓口から削除申請をするには?
法的に問題があると考えられる口コミは、専用の窓口から削除申請するという手もあります。
①「削除依頼に該当する理由を選択」へ
Google検索から削除申請する方法と同様の手順で「削除依頼に該当する理由を選択」の画面まで進みます。
②「法的事項に関するヘルプ」をクリック
「法的事項に関するヘルプ」の項目を選びます。
③「コンテンツを報告する法律上の理由」を選ぶ
表示された項目のうち「コンテンツを報告する法律上の理由」を選びます。
④「知的財産権」または「その他の法的な問題」をクリック
「知的財産権」または「その他の法的な問題」を選択してクリックします。
⑤「名誉棄損」「裁判所命令」「その他」のいずれかをクリック
「名誉棄損」「裁判所命令」「その他」のいずれか、該当するものを選びクリックします。
⑥「リクエストを作成」をクリック
「リクエストを作成」をクリックすると、口コミの違法性について詳しく記載できるページが表示されるので、法的な問題を記載して「送信」すれば完了です。
その他の削除申請方法とは?
紹介してきた削除申請方法以外にも、口コミを削除するための方法はあります。たとえば、Googleのヘルプセンターに電話を直接かける方法です。Googleビジネスプロフィールのヘルプセンターに個別事案として相談すれば、対応してもらえるかもしれません。
またGoogleへの依頼がうまくいかない場合には、投稿者本人に削除を依頼する手段も考えられます。口コミは、投稿した本人なら簡単に削除できるのです。ただし投稿者の本名・住所などが特定している場合に限られ、直接連絡を取るのではなく弁護士を通じて内容証明郵便で連絡を取るようにしましょう。本名や住所を調べるには、プロバイダやGoogleへの開示請求が考えられます。
さらに、法的手段に訴える手もあります。民事訴訟を起こしても解決には時間が掛かってしまうので、口コミを名誉棄損として裁判所の「削除仮処分申し立て」を求めることが多いようです。その場合には、弁護士に依頼する必要があるでしょう。
削除できるGoogleマップの口コミとは?
削除申請しても、Googleマップの口コミはすべて削除されるわけではありません。ここでは、Googleポリシーで削除対象だと定められている口コミを紹介していきます。
スパム・虚偽のコンテンツ
「スパム」とは、迷惑行為によって口コミ投稿欄を荒らすものです。同じ内容の投稿を何度も投稿したり、複数の端末を使って同一人物が複数人を装い似たようなネガティブな投稿を行ったりするのは、スパム行為に該当します。
また、実際には来店していないにもかかわらず「店内が汚れていた」「接客態度が悪かった」などの店舗にとってネガティブな印象を与えることを狙った虚偽の内容を投稿することも、削除の対象となり得るでしょう。
関連性がないコンテンツ
対象の企業・店舗とは全く関連の無い内容、たとえば政治的主張や社会的な論評、生活の不満などを述べているような口コミは「関連性のないコンテンツ」となります。
制限されているコンテンツ
ギャンブル・アルコール・銃・タバコ・健康器具や医療器具・金融サービス・成人向けサービスなどについて、販売を促すようなフレーズや特典、商品ページへ誘導するリンクを記載することは禁止されています。
違法なコンテンツ
危険行為・違反行為・暴力を助長する描写・他社の著作権を侵害するような内容の口コミ、日本国内の法律に違反するような内容は削除可能です。
テロリストのコンテンツ
テロ組織による口コミ、またはテロ組織のために制作されている口コミは削除対象です。テロ組織によるテロを予告する内容やメンバーの募集はもちろん、組織員ではなくてもテロ行為を助長するような内容、称賛する内容も同様に削除の対象になるでしょう。
露骨な性的表現を含んでいるコンテンツ
性的な描写やアダルトの内容を含む口コミは許可されません。「性的表現」は直接的なもの以外にも、暗喩したような内容や肌の露出が多い画像などもNGの対象なのです。
不適切なコンテンツ
Googleは世界中で安心して利用できるサービスであり、世界的な視点で不適切なジェスチャーを含む画像や、冒涜的・わいせつな内容のコンテンツは不適切だと見なされます。
危険なコンテンツ・中傷的なコンテンツ
口コミ投稿欄はユーザー同士がコミュニケーションできる場であり、安心したコミュニティである必要があります。そのため、人種・宗教・性別・傷害などによる差別を助長する内容、特定の個人・集団を威嚇攻撃・誹謗中傷するような口コミは削除の対象です。
なりすまし
他人を欺くために自分以外の誰かになりすまして虚偽・不正の口コミを行うことは禁止されており、削除の対象になります。
利害に関する問題
競合店の評価を下げるようなネガティブな口コミを投稿するのは、ポリシー違反となります。
削除できないGoogleマップの口コミとは?
ここからは、削除対象にならないと判断されるGoogleマップの口コミがどのようなものなのかを挙げていきます。
コメントがない口コミ
たとえ星1つの悪い評価が付いたとしても、評価のみでコメントがない場合は虚偽なのかどうかの判別が付かないため、削除できないのが基本です。
ユーザーが受けた印象の口コミ
たとえば「料理がおいしくなかった」という口コミは店にとっては不利益となりうる評価ではありますが、味は人によって感じ方が違うため虚偽の口コミだとは言い切れないのです。
実際にあった出来事の口コミ
当たり前ではありますが、企業・店舗のネガティブな口コミも、それが事実だったら削除は不可能です。
事実確認が難しい口コミ
企業・店舗側とユーザー側のどちらでもなく中立の立場から見た時に事実かどうか判別が難しい口コミは、削除するのも難しいでしょう。
Googleマップの口コミに削除依頼をする際の注意点とは?
Googleに削除依頼をする際には、次のような点を頭に入れておく必要があります。
依頼したからといって必ず削除されるとは限らない
Googleに削除を依頼したからといって、必ずしも削除してもらえるとは限りません。ポリシー違反が認められて削除されるのは、実はハードルが高いことが分かっています。削除依頼をしたとしてもGoogleに削除は適当ではないと判断されることも実は多いのです。
削除には時間がかかる
削除依頼をしても、早くて数日、場合によっては2週間から4週間ほどかかるケースも多々あります。また、申請が通り削除が行われた場合も申請が通らなかった場合も、その旨通知が届くことはありません。削除依頼を出したら、対象の口コミが消えているかどうかチェックする必要があるでしょう。
削除の依頼理由を詳細に説明はできない
削除してもらいたい口コミについて、経緯や削除してほしい理由などを詳しくGoogleに説明したいのは山々ですがそれはできません。削除を希望する理由をいくつかある項目を選択するだけしかできず、Googleの判断を待つしかないのです。
削除したい対象の投稿は保存しておく
法的な解決を視野に入れているなら、対象の口コミは証拠を残しておきましょう。投稿画面のスクリーンショットなどをして、投稿日時・アカウント名・口コミの本文が分かるように保存しておくのです。
削除依頼は1回限りの再審査請求まで
Googleに削除が認められなくても、一度なら再審査を請求することが認められています。ただしそれ以上に何度も削除依頼することは避けましょう。何度も削除の申請を行うことで、Google側に不正アカウントだと見なされて、最悪の場合にはアカウントを停止されてしまう可能性もあるのです。
代行業者に注意
Googleビジネスプロフィールの運用をするのに代行業者を利用するのも選択肢の1つですが、最近では削除申請を代行してくれる業者も増えていることをご存知でしょうか。
Googleの特定の口コミを非表示にしてくれることをうたう業者も多く登場していますが、悪質な業者も存在するので注意が必要です。悪徳業者はペナルティを受けるような手段で削除したり、Googleビジネスプロフィールを一から作り直すことで、コメントを削除したりといった手法で削除しているのです。
その場合、何の解決にもならないどころか、「悪徳業者を使って口コミを操作する企業・店舗」だと評判を落とすことにもなりかねないのです。
ネガティブな内容の口コミへの対処法は?
削除したいと思えるような口コミでも、削除申請が通らないことも多々あるのが現実です。だからといって、もう手がないわけではありません。次のような対処法を試してみましょう。
低評価・ネガティブな口コミにも誠実に対応する
低評価やネガティブな口コミにはつい反論してしまいたくなりますが、それは逆効果です。なぜなら他のユーザーは、一連のやり取り全てを閲覧できるからです。ネガティブな口コミに対しても誠実に返答している店舗は好印象を与えられることでしょう。
ポジティブな口コミを増やす
口コミ数自体が増えれば、ネガティブな口コミが目立たなくなります。ポジティブな口コミを増やすために、店内のPOPで呼びかけたり、ショップカードにQRコードを印刷して口コミしやすい環境を整えたりしてみましょう。
Googleビジネスプロフィールを充実させる
そもそもネガティブな口コミが発生する背景には、Googleビジネスプロフィールの店舗情報が充実していないことによる、ユーザーとオーナーのミスマッチが考えられます。
とくに営業時間や営業日は、変更した際には必ず情報を更新するのが大切です。Googleビジネスプロフィール情報を見て来店したのに営業していなかった、となるとネガティブな口コミを書きたくなってしまうのも無理ないと言えるからです。
まとめ
多くのユーザーが、Googleマップの口コミを参考にして来店する店舗を決定しています。店舗オーナーとしては良い口コミを集めて他のユーザーの来店を促したいところですが、ネガティブな内容の口コミが書かれることも多々あります。
悪質な口コミだと感じた場合には、さまざまな方向で削除できるか対応してみましょう。また、削除できなかったとしても評判を落とさないようにする手立てはあるので、前向きにMEO対策に取り組んでいくのがおすすめです。