ビジネスをする上で、集客や認知度拡大のための費用は欠かせないものです。商品によってはなかなか認知されなかったり、売り上げが思うように伸びなかったりします。そうした悩みを改善するのが、費用対効果を算出することです。
ここでは、費用対効果とは一体何なのかというポイントやメリット、何故必要なのかなどについて詳しく解説していきましょう。
費用対効果とは?
費用対効果とは、商品を作り上げたり売ったりするときにかかる費用に対して、どれだけの利益や効果が出たのかを指す言葉です。費用対効果の数値を求める際には、利益として出た金額から商品の販売に費やした金額を引くことで算出できます。算出された数値が高ければ高いほどコスパが良く、十分に効果が得られているといえます。
事業の方針を決めていく過程において、いくつか提案されることが多いでしょう。しかし、そのような選択をする場面において、費用対効果が役立つこともあります。たとえば、費用対効果が低いと、企業はあまり儲かりませんし、消費者も高い価格の商品を買うことになってしまうでしょう。また、他の費用対効果が高い企業との競争に負けてしまうことも考えられます。
売り上げという目標を達成するにあたって、費やせる予算は、少なければ少ないほど良いのです。また、余計な費用がかからなければ、商品の価格を下げることも可能です。そのため、費用対効果が高いことは、企業と消費者の両方の視点からみても、良いことだと分かります。
費用対効果の費用と効果とは具体的に何がある?
ここでは、費用と効果とよばれるものには、どのようなものが含まれるのかを具体的にみていきましょう。
費用対効果における費用とは?
「費用」とよばれるものには、お金がかかるものはもちろん、それ以外にも時間と手間などもコストとして含まれます。たとえば、製造コスト・販売コスト・広告コスト・物流コストなどがあります。このようにお金や時間、手間をコストと考えると、あらゆるものが費用として扱われることになるでしょう。
費用対効果における効果とは?
上述した費用が、お金だけでなく時間や手間も含まれるように、「効果」も利益として出たお金だけを指す言葉ではありません。代表的な例として、広告を出した際の集客数やWebサイトへのアクセス数、ブランドへの認知度向上といった消費者の反応が挙げられます。かけた費用に対して、お金が生まれなくても自社への良い影響があれば、効果として認められるのが特徴です。
費用対効果はなぜ重要なの?
費用対効果が重要視されている主な理由には次のようなものがあります。
経営方針を決める上で指標になる
費用対効果の数値を見ることで、経営の方針を共有することが可能になります。たとえば、費用対効果の数値が低い場合は、費用に対して効果が薄いため、別の方法を再度考えるきっかけとなるでしょう。また、具体的な数値として効果が分かるため、取り組み前と取り組み後の比較ができるのも利点だといえます。
経営全体の方針を決めるのにも有効ですが、規模に関係なく活用できる点もメリットです。たとえば部署やチームなどの小規模グループだけでなく、個人単位における取り組みにも活用できます。
さまざまな取り組みによる効果を比較できる
1つの取り組みの前後を比べるだけでなく、複数の取り組みの中で、どれの効果が高いかを比べられるのも、費用対効果を活用するメリットの1つです。たとえば、Webサイトの広告で10万円かけた場合と100万円かけた場合で、ユーザー反応にどれだけの差があるかを調査して、費用対効果が高い方を選ぶことも可能になります。
費用対効果を表す指標とは?
費用対効果の中でもとくに、広告費への投資や成約ごとの広告費を表すのが、「ROI」「ROAS」「CPA」と呼ばれているものです。ここでは費用対効果を表す指標について、詳しく解説していきましょう。
投資に対する費用を表すROI
ROIは、投資をした費用に対し、利益がどれだけ得られたのかを表した数値で、「Return On Investment」の略になります。費用対効果は金額を算出するのに役立ちますが、ROIは投資差益の大きさを算出できるところが特徴です。
ROIは「利益÷広告費×100」で求めることが可能です。投資がどれだけ効果的なのかを表すことが可能で、数値(%)が高いほど効果のあることが分かります。
逆に、ROIが低い場合は、投資の効果が薄いことが分かります。そのためROIは、方策を改めるきっかけになるでしょう。ただし長期的な視点での利益を見るのには向いておらず、認知度やイメージアップなどの数値にできない効果を測るのにも向いていません。
投資をした広告の費用への売上計算をしたROAS
広告を利用した集客の効果が、どれだけあったかを測定するために使われるのがROASです。「Return On Advertising Spend」の略です。広告費1円あたりの利益が分かるため、広告費がどれだけ回収できたかを理解するのに適した指標になっています。ROASが高いほど広告の効果が高いことになるので、広告の予算を高くするなどの方針が立てやすくなるでしょう。
ただし、本当に利益が出ているかは分からないため、実際には赤字になっていたという場合も考えられます。そのため、ROIの数値を見て、利益が出ているかを確かめることがROASを活用する上で重要になってきます。ROASは「売上÷広告費×100」で求めることが可能です。
成果を得るたびに発生した費用を表すCPA
CPA は、1件の成約ごとの広告費用を表します。「Cost Per Acquisition」の略です。たとえば、50万円の広告費をかけて、成約が10件あったら、1件の成約あたり5万円の広告費がかかっていたとわかります。そのため、CPAは「広告費÷成約数」で求めることが可能です。
ROIとROASは、数値が高いほど効果があることの分かる指標です。一方、CPAは、数値が低ければ低いほどコスパが良くなります。そのため、CPAの数値が高い場合は広告費を下げるという対応が考えられます。ただしCPAが低くても高くても、成約数が変わらないこともあるため、まずは成約数を上げるという対応が必要になるでしょう。
費用対効果をより良くするには?
仮に費用対効果が悪い場合には、さまざまな改善方法が考えられます。費用対効果を改めるには、主にコストを抑えることや、一人ひとりの生産性を向上させること、足りない部分を外部で補うことなどがあります。
まず、思いつくのがコストを下げることですが、全体のコストバランスを調整することで費用対効果が良くなる可能性は十分にあります。しかし、コストを下げたことによるバランスの悪化も考えられるため、コストの下げすぎにも注意が必要です。また、人材の生産能力を向上させることも、費用対効果を改めるのに有効です。しかし、その分のコストが増えることも考えられます。
自社ではどうしようもない場合には、上記の対応では改善が難しいこともあります。そのため、足りない部分を補うような外部サービスの利用も考えられるでしょう。もちろんコストはかかりますが、生産性が上がったり、従業員が他の作業に徹したりできるなどのメリットもあります。
まとめ
費用対効果とは、利益を向上させるために、業務の進め方を見直すきっかけになるものです。そのため、常に費用対効果を意識した運営が、重要になります。費用対効果が悪いと、利益が下がるだけでなく、改善のためのコストが必要になる場合もあるでしょう。全体のバランスを調整しながら、よりよい方法を探していくことが大切です。