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【わかりやすく解説】企業の7大「経営資源」について改めて考える!

経営の中でも重要なキーワードの一つに「経営資源」があります。経営学でもしばしば取り上げられるキーワードですが、その意味を正しく理解していない人もいるかもしれません。そこで企業にとって経営資源とは何か、経営資源を有効活用するために押さえておきたいポイントについてご紹介します。

経営資源の基礎知識

経営資源とはそもそも何かについて、まずはしっかり理解しましょう。経営資源にはいろいろなものがあって、4つとする人もいれば5つとする説、さらに7つとする説もあります。最初は4つだったのですが、時代の流れとともにほかのものを含めるべきという考え方が広まりつつあります。

経営資源とは

経営資源とは企業を運営するために欠かせないリソースのことです。経営資源を最大限に活用できるかどうかが、自社経営の先行きを占う重要なポイントといえます。また経営資源をどのように活用するかは、経営者の腕にかかっているといっても過言ではありません。

経営資源の移り変わり

1990年くらいまでは経営資源というとヒト・モノ・カネ・情報の4つとされてきました。今でもこちらが基本的な経営資源とみられています。

しかしそこから20年くらいの間に「もっと別のものも経営資源として加えるべきでは?」という意見が出てきました。「時間」を加えて5つにすべきという説もあれば、さらに「知的財産」と「ブランド」を加えて7つにすべきという意見も見られます。

2023年現在、ここまですべて紹介した7つの要素を経営資源とすべきという意見が主流になりつつあります。

経営資源の7つの要素について解説

経営資源に何が該当するのか、これは先ほど紹介したようにいろいろな意見が見られます。しかし近年では7つの要素が経営資源であるという見方が広がりつつあるのです。そこでここでは7つの経営資源について、個別に詳しく解説します。

ヒト

経営資源の中でも最も重要なファクターとみられています。そもそも働いてくれる人がいなければ、経済活動はできません。とくにこれからの日本は少子高齢化がますます進み、現役人口は減少するとみられています。その中でどうやって優秀な人材を確保するかが、業種関係なく日本で活動する企業の課題になります。

モノ

経営資源でモノというと商品をイメージする人もいるでしょう。しかし商品だけでなく、機械などの生産で必要な設備、従業員の作業効率化に役立つツールなども含まれます。また立地もモノの中に含まれるという考え方もあるのです。業種関係なく、立地も差別化を図るにあたって重要な要素といえます。モノをどう有効活用するか、ライバル企業と比較して何が違うのか差別化を図るなど、しっかりした戦略を立てていかないといけません。

カネ

経営を進めるためには、手持ち資金を持っておかないといけません。たとえば、ほかの経営資源であるヒトの導入やモノを購入する際に、お金が必要です。いかにビジネスがうまくいっていても手元にお金がなければ、経営が立ち行かなくなります。そのため、キャッシュフローの状況を確認し、資金繰りが立ち行かなくなる事態を避けなければなりません。

情報

情報は企業にとって無形の資産といえます。具体的には顧客データやこれまでの企業活動で培ってきたノウハウなどが該当します。情報は企業にとって大切なものですが、持ち出そうと思えば比較的簡単に持ち出せてしまうでしょう。そのため、従業員などが外部に流出させないためにも、セキュリティ対策に力を入れなければなりません。

時間

時間も経営資源の一つであるという考え方もあります。企業活動するにあたって、時間はさまざまな場面で登場します。採用活動における時間、プロジェクトが成功するまでの時間、商品開発にかける時間などいろいろと出てきてしまうでしょう。時間は有限ですし、過ぎてしまったものは取り戻せません。その時間を有効活用するためには、いかに効率的に作業するかを常に考える必要があります。

知的財産

知的財産とは特許や商標権などが挙げられます。また取引先のネットワークや企業の組織力など無形資産も知的財産の一つといえます。その企業オリジナルの簡単に模倣できないものは、とくに大事です。ユニークな商品を提供する、コスパに優れたサービスを提供するために欠かせない経営資源といえます。

ブランド

近年の経営資源の考え方において、ブランドも重要な要素の一つといわれるようになりました。ブランドとは特定の売り手のサービスを識別し、ライバル企業の製品と識別するためのものです。具体的には名称やフレーズ、記号、デザインなどいろいろなものが含まれます。一貫したビジョンで商品やサービスを提供すれば、それが一種のブランドになり、差別化を図れます。

経営資源を確保することのメリット

経営資源を手に入れることで、企業にとっては大きなプラスになります。具体的に経営資源を持つことで、どのようなメリットが期待できるか以下にまとめました。

ライバルとの差別化が図れる

経営資源を手に入れると、企業のオリジナリティが高まります。ブランドや知的財産、情報などが該当します。その結果、2つの集中戦略ができるのです。まずは差別化集中戦略です。ライバル企業との差別化を図れるので消費者にアピールできますし、顧客のニーズに合致すればブランドが確立されます。

もう一つがコスト集中戦略です。たとえばライバル企業よりも低価格で商品やサービスを提供できれば、「あそこの商品は安くて品質もいい」という評判につながります。他の経営資源を効率的に活用すれば、低コストで生産でき、なおかつ利益の減少を招かずに済みます。

顧客満足度をアップできる

経営資源を充実させれば、良質の商品やサービスが提供できるようになります。経営資源を充実させれば、商品開発力がアップするからです。またブランディング効果も高められるので、顧客満足度の向上につながります。顧客満足度が高ければ、リピーターも確保しやすくなり、利益増大や安定化につなげられます。

効率的なマネジメントが可能

経営資源を持っていれば、人事面でのマネジメントの効率性を高められます。経営資源が少なければ、人事部門の人材を十分確保できないでしょう。また制約された条件でマネジメントを進めないといけません。しかしマネジメントできる人財が増えれば、希望する戦略に沿った人事に関する各種施策が可能になります。

自社の課題を発見できる

経営資源を分析することで、自社の抱えている課題が見えてくるのもメリットの一つです。企業が成長し続けるためには自社の強みを伸ばす一方で、課題を克服しなければなりません。また経営資源を分析することで、今後の戦略も立てられます。現状の経営資源を使って別のマーケットに進出したり、新規に経営資源を獲得することで他社との差別化を図ったりするなどいろいろな選択肢が出てくるはずです。

経営資源をベースに自社分析を進めるにあたってポイントになるといわれているのが、VRIO分析です。Value(経済価値)・Rarity(希少性)・Inimitability(模倣困難性)・Organization(組織)の4つの問いに答える形で分析を進める方法です。経営資源を充実させるだけでなく、現有の資源の分析を定期的に進めることでその時々の企業の直面する課題が明確になります。

経営資源を有効活用する方法

経営資源を有効活用することで、さまざまな恩恵を企業にもたらしてくれます。では有効活用するためには、どのようなことに注意すればいいのでしょうか?具体的な活用法について以下で紹介しますので、参考にしてください。

まずは現存する経営資源を把握しよう

最初にやるべきことは、自社にはどのような経営資源があるか、正確に把握することです。ヒトすなわち従業員、オフィスや店舗、備品などのモノ、会社の手持ち資金であるカネなどを見つめ直すことです。カネについては現金だけでなく、債権や有価証券を保有していれば、こちらもカウントしていいでしょう。

情報は自社の持つ技術のほかにも、商品開発するにあたって集めたデータなども含まれます。時間についても見直してみるといいでしょう。具体的には経営者や従業員の勤務時間、商品を販売するまでの時間、情報を集めるのにかかる時間などをチェックすることです。

このような経営資源を見つめ直すことで、何が足りないのかが見えてくるでしょうし、無駄になっている部分があるかもしれません。そうすれば、どの部分を改善していけばいいのかも見えてきます。

経営資源を使う意識を持つ

経営資源を有効活用するためには、正しい使い方を理解していなければなりません。たとえば人事面で見ていくと、従業員のほとんどがきちんと働いていても1人ロクに仕事をしていない従業員がいるとします。となると人材を有効活用しているとは言えません。

働いていない1人の人材を有効活用できていないだけでなく、その人に渡している給料、すなわちカネも無駄になっています。またその1人の勤務時間も無駄にしてしまうのです。このように一つの経営資源が活用できないと、ほかの経営資源も有効利用できていないことになります。

このようなことにならないために、現有の経営資源を100%余すことなく活用することを意識してください。どんなに良い経営資源を有していても、それをきちんと活用できなければ意味がないということを理解しましょう。

独自性を意識する

経営資源を活用するために意識してほしいのは、独自性の育成です。もし業界でオンリーワンになれれば、安定した利益を確保できます。では独自性を出すには経営資源をどう生かすかを常に考えることが大事です。

たとえばモノを最新のものにすることで、ライバル企業との差別化を図れます。そのためにはどうすればいいか考えましょう。モノを新しくするためには最新の機械を導入するためにカネが必要で、最新機器導入でどの程度時間の短縮化を図れるか考えてみることです。

時間を短縮化できれば、その余った時間を別のリソースに回せるようになります。どこに回せばいいか考えましょう。

人材教育に力を入れる

経営資源の中でも重要な要素として、ヒトがあることはここでも何度か紹介しました。人材管理をしっかり進めることも経営資源の有効活用に欠かせないことです。そのためには、定期的に教育できる場を設けることです。

業務に必要なスキルアップのための講座を設ける、専門性の高い能力を引き出す教育の実施など人材の価値を高められるようなプログラムを設けましょう。もし自前でダメなら、スクールや通信教育を受ける従業員に手当を出すなどのサポートをするといいでしょう。

また適材適所を意識することも大事です。そのためには従業員それぞれの能力や価値を理解し、能力を発揮できるポジションに配置することです。また会社の中で足りないスキルがあれば、その補強のために何をすべきか考えることも会社の成長につながっていきます。

情報セキュリティの強化を図る

経営資源の一つである情報が漏洩すると、会社にとって大きなダメージにつながりかねません。そのような事態を回避するために、セキュリティ対策に力を入れることも大事です。

とくに業種関係なく、今ではどの企業もパソコンの導入などデジタル化が進んでいるでしょう。ネットワークを介した情報漏洩の危険性は高いので、最新のセキュリティソフトを積極的に導入する、従業員に対して定期的にITリテラシーに関する教育を行うなどの対策が必要です。セキュリティを強化することで、取引先など外部からの信頼性を高められます。

業務効率の意識を常に持つ

時間は限られたリソースです。その限られたリソースを有効活用するためには、常に作業効率性を意識しなければなりません。たとえばどこからでも情報共有するためにクラウドなどを利用するといいでしょう。いちいち情報共有するために外回りの人がオフィスに戻ってくる必要もなくなります。またペーパーレス化を導入すれば、紙のやり取りや管理の手間も省けます。

業務効率の意識を高めることで、具体的な数値を目標として掲げるといいでしょう。そうすれば、従業員の士気も高まりますし、無駄に時間を使わないという意識徹底も図れます。

借金の有効活用

経営資源の一つであるカネは重要な要素の一つです。資金はよく血液にたとえられますが、お金は回っていって初めて安定経営につなげられます。資金を回していくためには、借金も有効活用するといいでしょう。

日本では借金することは悪いことと思われがちです。しかし借金することでキャッシュが手にできます。そのキャッシュを有効活用すれば、経営の安定化につなげられます。

「売上が順調であればお金も入ってくるから、借金の必要はない」と思っている経営者もいるかもしれません。しかし事業が順調でも手元に資金がなく、ショートしてしまって倒産する「黒字倒産」というパターンもあります。必要に応じて借金することも厭わないという意識を持つことも大事です。

経営資源に対する国の取り組み

経営資源の重要性は、国でも認識しています。このため、経営資源に関する取り組みを進めている企業を対象に国でもいろいろな施策を講じています。その中でも代表的なものをいくつかピックアップしてみました。

経営資源集約化税制

生産性向上を目的にM&Aを行った企業を対象にした税金の優遇制度になります。常時使用する社員数2,000人以下の事業者で資本金もしくは出資金が1億円以下の法人が対象です。

経営力向上計画の認定を受けたうえでM&Aの手続きを進めれば、設備投資減税と取得した株式の7割に当たる金額を損金算入することで税制面での優遇措置が受けられます。

経営資源引継ぎ補助金

経営資源引継ぎ補助金は、事業継承もしくはM&Aによって、経営資源の引継ぎを目指す中小企業をバックアップするための補助金制度です。

2022年12月16日以降に事業承継した中小企業を対象にしていて、「経営革新」「専門家活用」「廃業・再チャレンジ事業」の3類型が設けられています。

2023年8月10日に6次公募の受付が締め切られていますが、今後も募集される可能性はあります。最新情報を事業承継・引継ぎ補助金事務局の公式ホームページにて確認してください。

まとめ

経営資源を有効活用することで、会社の競争力や価値を今まで以上に高めることが可能です。また競合他社との差別化も図れるので、安定した収益も期待できます。将来的な経営力の向上にもつながっていきます。経営資源はヒトやモノ、カネ、情報、時間、知的財産、ブランドといろいろな要素によって構成されているのです。

まずは自社でどのような経営資源を抱えているか、現状を把握し、強化するためにはどうすればいいかを検討しましょう。また人材教育や情報セキュリティに力を入れることも、経営資源の有効活用につながっていきます。ここで紹介した活用法を考え、自社の競争力を高めませんか?

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