エステ・ネイルサロンにおける集客は、大手予約サイトに登録しているから大丈夫だと考えている経営者の方も多いのではないでしょうか。ところがエステ・ネイルサロンの実に約90%が10年以内に廃業してしまうという、驚きのデータもあるのです。
厳しい競争を勝ち抜くには、予約サイト以外の集客手段も持つ必要があるでしょう。そこでおすすめなのが自店舗のHPです。エステ・ネイルサロンのHPを制作するにあたって、おすすめのデザインや事例、NGポイントなどを解説していきます。
エステ・ネイルサロンのHPの重要性とは?
エステ・ネイルサロンの多くは予約サイトに登録しているはずですが、それとは別にHPを制作することが集客に大きく影響します。それはなぜでしょうか。
予約サイトだけで他店との差別化を図れない
エステ・ネイルサロンの多くは、美容系サロン対象の予約サイトに登録している場合が多いのではないでしょうか。ただし予約サイトでは、他店と差別化を図るのは難しいものです。ワンクリックで24時間いつでも予約でき、他店との比較も簡単にできるためユーザーが多く、売り上げアップには非常に有効となります。
ただし掲載店舗数が多く、基本的にデザインは同じであり、画像の枚数や文字数などに制限もあるのです。そのため、他店との差別化を図るには予約サイトだけでは不十分だと言えるでしょう。
自由な表現が可能
予約サイトと比較して自由な表現が可能なのが自店舗のHPです。デザインやサイトのメニューなど、予約サイトよりカスタマイズ性が高いと言えます。エステ・ネイルサロンのHPに訪れるユーザーは、興味を持ってくれている人だと言え、そのようなユーザーに対して情報をダイレクトに伝えられるのが大きなメリットでしょう。
他の施策との連携が可能
HPにSNSやチラシ、リスティング広告を組み合わせれば、それぞれの集客力に相乗効果が生まれるはずです。HPを作成しただけでの集客は難しいものの、定期的に更新するといったSEО対策を行うなどして粘り強く運営しましょう。そして各チャネルと連携させれば、予約サイトの掲載料と比較して安く集客が叶った例もあるのです。
インターネット上の「名刺」になる
サロンに興味を持った顧客は、来店を検討するために大部分がネットで店舗について検索してみていることはご存知でしょうか。その際に、HPがないサロンよりもHPのあった方が顧客に信頼感を与えます。HPがあれば、来店前に住所やメニュー、外観などが確認できないサロンより、確認できるサロンの方が安心できるはずでしょう。つまりHPがインターネット上での「名刺」の役割を果たしてくれるのです。
無料で始められる
企業のHPというと、制作会社に依頼してお金をかけて作らなければならないイメージがあるかもしれません。ところが実際は、とりあえずHPを作りたければ無料の作成ツールで十分なのです。ただし無料の制作ツールでは広告が表示されるなどの機能制限があるため、本格的にビジネスで活用するなら有料プランにしましょう。
エステ・ネイルサロンのHP作成のポイントとは?
ここからは、エステ・ネイルサロンのHPを作成する際のポイントを9点紹介していきます。
店の雰囲気を伝える
エステ・ネイルサロンに限らず、飲食店やクリニック、アパレル店など初めて訪れる店舗はハードルが高いものです。それは、店がどのような雰囲気なのか分からないことが大きいでしょう。店の雰囲気を事前にHPで伝えられれば、来店へのハードルをぐんと下げられるはずです。
ターゲット層の興味を引くデザイン
エステ・ネイルサロンは実に数多くあるため、HPを見てもらうだけでも難しいのが現実です。せっかくHPを見てもらえても、興味を引くデザインでなければすぐに他店のHPに流れてしまうでしょう。内容をじっくり読んでもらうためにもまずはユーザーの興味を引くようなデザインにして、目を止めてもらう必要があるというわけです。
ターゲット層の悩みに響くキャッチコピー
ターゲット層の興味を引くデザインとともに、トップページに印象的なキャッチコピーを載せるとよいでしょう。その際に、ターゲット層の多くが悩んでいるであろう事柄に響くようなキャッチコピーにすると、「このサロンに行けば自分の悩みが解消できそう」だという期待を持ってもらえるはずです。
コンセプトを決める
何となく漠然とHPを作っても、集客効果は得られないでしょう。作成時にコンセプトを決めることが大切です。コンセプトの決め方としては、「5W1H」で考えるといいでしょう。
・What(何を):HPで実現したいことは何か。(予約件数を月〇件増やすなど)
・Who(誰が):ターゲットとするユーザーは誰か。(30代で美容に興味がある女性など)
・Why(なぜ):ターゲットとするユーザーがこのHPを訪れるのはなぜか。(店の基本情報が知りたいなど)
・When(いつ):ユーザーがHPの情報を必用とするのはいつか。(初来店を検討する際など)
・Where(どこで):ユーザーがHPを見るのはどこか。(自宅でなど)
・How(どうやって):HPまでユーザーがどうやってたどり着くか。(検索エンジンから、Web広告からなど)
ターゲットを明確にする
HP作成時にコンセプトを決定する際に5W1Hで考えることはお話ししましたが、その中でも「Who(誰が)」はとくに重要です。どのような層をターゲットに設定するかを、より詳細に考えましょう。それには「ペルソナ」を設定するのが有効です。
ペルソナとは、サービスや店舗を利用すると考えられる典型的なユーザー層のことです。年代や性別だけでなく、「配偶者はいるか」「どこに住んでいるか」「年収はどれくらいか」「職業は何か」「どのような性格か」「どのようなライフスタイルを送っているか」など、より詳細な人物像を考えてみましょう。そして、そのペルソナが満足するようなHPを用意することで、集客につなげていけるようになるのです。
独自性をアピールする
コンセプトやターゲットを絞るとともに、サロン独自のセールスポイントを打ち出したHPにすることも大切です。たとえばスタッフの技術力の高さを売りにするなら、スタッフの経歴や受賞歴をアピールすることが考えられます。また、大人の隠れ家的な雰囲気が売りのサロンなら、HPのデザインもそのコンセプトに合わせたものが考えられるでしょう。独自性をアピールすることは、多店舗との差別化にもつながります。
画像・写真を充実させる
HPを訪れるユーザーは、サロンの具体的な情報を求めています。画像や写真ならテキストよりも視覚に訴えられ、直感的に魅力をアピールできるので、画像や写真を充実させるといいでしょう。実際に施術している様子やビフォーアフター、ネイルならデザインのギャラリーなどで画像や写真を多く掲載すれば、ユーザーは自分が来店した際のイメージが湧くはずです。
具体的な目標を設定する
コンセプトを設定する際の5W1Hのうち「What(何を)」も細かく設定する必要があります。より具体的な目標を設定しましょう。たとえば「アクセス数を増やしたい」「HP経由で問い合わせてほしい」「リピーター客にキャンペーン情報や新商品の案内を見て欲しい」などが考えられます。問い合わせを増やしたいなら、「お問い合わせボタン」を配置したりお問い合わせのページまでの動線を工夫したりといった対策が考えられ、それぞれに対策は異なってくるでしょう。
テーマカラーを決める
HPのデザインは、使う色合いをある程度絞らないとゴチャゴチャしてしまい、おしゃれだとは言えなくなってしまいます。また、色にはそれぞれイメージがあります。たとえば赤は「エネルギッシュ」「情熱的」なイメージ、青は「爽やか」「冷静」「誠実」なイメージ、紫色は「高貴」「神秘的」「非現実的」なイメージなどです。HPに使う色は、サロンのコンセプトに合ったカラー、ユーザーに与えたい心理的影響と合ったカラーにしましょう。
HPに使う色は、3色に抑えるのがベストだと言われていることはご存知でしょうか。その3色を「70:25:5」の割合で使用すると全体的にバランスが良くなるという、「70:25:5の法則」があるのです。
エステ・ネイルサロンのHPに必要なコンテンツは?
エステ・ネイルサロンのHPを作る際に、次のようなコンテンツは必須となるでしょう。
基本情報
サロンの基本情報は漏れなく記載しましょう。具体的には次のような項目です。
・店舗名
・住所
・アクセス方法
・電話番号
・営業時間
・定休日
・駐車場の有無
・設備
・スタッフ数
・支払い方法
とくにアクセス情報は、Googleマップを埋め込むなどして住所だけでなく経路も伝えるようにしましょう。
最新情報
HPはインターネット上の「名刺」になるとお話ししましたが、名刺としてしっかり機能し信頼感を得るには、新たな情報を随時更新する必要があります。長年更新されていないHPは、その内容で今も営業しているのか見た人は半信半疑になってしまいます。
とくに営業時間や休業日に変更があった際には、すぐに更新しておく必要があるでしょう。さらに新メニューの告知、クーポン情報なども定期的に更新することが大切でしょう。
SNS情報
InstagramやX(旧Twitter)、Facebookなどのアカウントがあったら、HPに必ず載せましょう。HPから各SNSへの流入が見込めると同時に、各SNSからHPへの流入も見込め、相乗効果で訪問者数が増やせるというわけです。
メニュー
施術メニューは、サロンに興味を持ってHPを訪れた人が必ずチェックする項目です。ネイルサロンならデザインごとでカテゴリ分けするなど、より詳細なメニューと料金を掲載しましょう。「高いと思われるかも」と料金を載せないのは逆効果です。料金表を載せるなど分かりやすく料金も伝えるのがおすすめです。
フォトギャラリー
ネイルサロンならどのようなデザインが得意なのか、どのようなデザインができるのか伝えるのにフォトギャラリーを利用しましょう。店内の外観や受付、施術ブースや更衣室などの写真を載せれば、実際に来店した時のイメージが湧きやすくなります。
スタッフ紹介
スタッフの顔写真とともにプロフィールも掲載しましょう。経歴や得意な施術・得意なデザイン、受賞歴などを載せるだけでなく、施術には関係なさそうでも趣味や興味のあることも掲載するのがおすすめです。親近感を持ってもらえるとともに、顧客がスタッフを選んで予約する際の参考にしてもらえるからです。
オンライン予約
HPから直接予約を取れるように、トップページに予約ボタンのポップアップを設置したり、予約ページへのリンクをページ下部に固定したりして、予約しやすい動線を作るのです。
ワークショップ・イベント情報
セルフネイル教室は近年大変人気です。エステサロンのワンコイン体験なども、エステは敷居が高いと感じているターゲット層を取り込むチャンスでしょう。そのようなワークショップやイベント情報は、HPで広く周知させるのがおすすめです。
お問い合わせ
何か事前に気になることがあっても、サロンに直接電話して問い合わせるのは勇気のいることです。お問い合わせフォームなら24時間受け付けられ、電話しなくてもいいので気軽に問い合わせてもらえるでしょう。
Q&A
よくある問い合わせは、Q&A形式で掲載しておくと問い合わせることなく顧客が問題解決できるようになります。
エステ・ネイルサロンのHP作成時のNGポイントとは?
HPを制作する際にはいくつかのポイントがあるものの、エステ・ネイルサロンのHPならではの注意事項もあるのはご存知でしょうか。
コピーコンテンツに注意!
たとえばHPに載せるセールスポイントをテキスト化する際に、「あのサロンと似たようなセールスポイントだから、あのサロンのHPの文章をそのまま載せよう」というのはNGです。他社のコンテンツの盗用にあたってしまい、信用問題にかかわってしまうのでコンテンツを丸々コピーするのは避けましょう。
コピーコンテンツでは自社の独自性も出せません。また、Googleのアルゴリズムもオリジナル原稿であることを重視します。その点から見ても、コピーコンテンツは避けてオリジナルのものを用意した方がいいと言えます。
薬機法に注意!
HPの文章など、エステサロンの広告では禁止されている広告表現があることはご存知でしょうか。「痩せられる」「シミが消える」などといった誇大広告による消費者の被害を防ぐため、「薬機法」「景品表示法」「医師法」など複数の法律で禁止されている広告表現があるのです。「当社だけ・業界ナンバーワン」といった表現や、2回目以降の料金を表示しないままの「初回限定〇円!」といった表現などが有名でしょう。
エステサロンにおいて関わりの深いのが薬機法です。エステサロンの広告で使われがちな表現には、薬機法で禁止されているものも多いので十分な注意が必要でしょう。たとえば「一度の施術でシミが消える」「10分で小顔になれる」などといった短期間での効果を歌う根拠のない表現は、代表的です。また、美容機器による施術を医療器だと思わせるような「簡単リフトアップ」「細胞レベルから若返る」「ニキビが消える」などの表現もNGです。
気を付けていても思わぬ表現が法律に抵触してしまっているケースも多々あります。薬機法表現チェックツールもあるので、活用するのも手でしょう。
凝り過ぎた HPは嫌われる!?
デザイン性をもたせるために、つい凝り過ぎたデザインになってしまいがちなのも考えものです。たとえばいきなりBGMが流れ始めるHPは多いものの、顧客が必ずしも自宅からHPを閲覧しているとは限りません。電車内や会社などで閲覧しようと思ったら急にBGMが流れてしまい、ヒヤッとした経験をしたことのある人も多いのではないでしょうか。
また、ページごとに異なるデザインにしてしまうと、違うサロンのHPに来てしまったのかと勘違いさせてしまうかもしれません。デザイン性は大切ですが、あまりに凝り過ぎるのは避けた方がいいでしょう。
エステ・ネイルサロンのHPのおすすめデザイン&事例
最後に、HPによる集客が成功しているエステ・ネイルサロンのHPの事例を紹介していきます。
ジェルネイル専門店「NICE NAIL横浜店」
HPのトップページでまず目に飛び込んでくるのが、「横浜最安級ジェルネイル2,990円~」のキャッチコピーです。さらに「ネット予約」「ネイルカタログ」「クーポン」などのボタンが大きく配置され、トップページからの動線が分かりやすくなっています。
「ネット予約」ボタンには「24時間簡単予約可能」、「ネイルカタログ」には「ネイルデザイン50,000点以上」といった言葉も添えられ、デザインの豊富さや予約のしやすさといった魅力が伝わってきます。「お客様の声」を掲載するのも、信頼性の向上に効果を発揮しているでしょう。
エステティック「TBC」
全国展開するエステティックサロンとして有名なTBCは、インパクトのあるキャッチフレーズで有名です。また、トップページには印象的な深紅を前面に打ち出し、料金表や施術メニューのページは白と青でクリーンな印象に演出しているのも特徴的です。
エステサロン「座禅荘NAGARA」
岐阜市にあるエステサロン「座禅荘NAGARA」のHPは、トップの映像で店内の様子を伝えているのが特徴です。まるで老舗の旅館のようなたたずまいの外観や、美しい緑の庭を望みながら施術を受ける女性とスタッフなど、癒しの空間であることが存分に伝わってきます。白を基調にしていることで、店内の明るさや清潔感も存分に引き出せています。
まとめ
HPはエステ・ネイルサロンの店舗にとってインターネット上の「名刺」になる大切なものです。自店舗の基本情報を正確に伝えるのはもちろん、ターゲット層の興味を引くようなデザイン、自店舗の魅力やセールスポイントが伝えられるコンテンツを用意して、集客アップを狙いましょう。