BUSINESS戦略

【これは大手企業だけの話ではありません】令和の生き残りに欠かせない「デジタル人材」を解説!

中小企業においても、今やデジタル化は避けては通れない課題でしょう。ところが企業のデジタル化を推進する存在である「デジタル人材」は、なかなか確保するのが難しい現状にあるのです。また、中小企業ではデジタル人材を社内で育成したとしても、流出されてしまう恐れを含んでいて、大企業のようにうまくいかないものです。

そこで今回は、「デジタル人材」の基礎知識とともに、確保の仕方や育成のポイントなどを解説します。

「デジタル人材」とは?

まずは、「デジタル人材」についての基礎的な内容を解説していきます。

「デジタル人材」の定義は?

「デジタル人材」とは、近年多くの企業で推進されているDX(デジタル・トランスフォーメーション)に欠かせない人材です。具体的に何をする人材かというと、最先端のデジタル技術を駆使してDXを推進させることで、企業に新しい価値創造を提供できる人材だと言えます。

DX(デジタル・トランスフォーメーション)とは、デジタル技術によって業務プロセスの改善にとどまらず、ビジネスモデルや製品・サービスそのものを変革することを指します。さらに組織や企業の文化、風土までをも改革し、競争において優位に立てるようにする施策がDXなのです。

この時の「最先端のデジタル技術」とは、「クラウド」や「5G」、「AI」や「生体認証」、「ビッグデータ」などの技術が対象となりますが、時代によって対象となるデジタル技術も変化していくと言えるでしょう。その時代における最先端のデジタル技術に精通し、駆使できる人材が「デジタル人材」なのです。

「IT人材」との違いは?

デジタル人材と似た言葉に「IT人材」がありますが、どのような違いがあるのでしょうか。「IT人材」とは、ITを活用して情報システムの導入を企画・推進・運用していく人材のことです。つまり最新のデジタル技術を活用・運用する「実行者」であるのに対し、デジタル人材は最新のデジタル技術を活用し、新しい価値を提供できる人材であるのです。

日本におけるデジタル人材の現状とは?

独立行政法人「情報処理推進機構」による「DX白書2021デジタル自在の人材」を分析していきましょう。現在の日本におけるデジタル事業に対応できる人材は、世界各国と比較しても不足しているのが現状です。「プロダクトマネージャー」「ビジネスデザイナー」「テックリード」などといった、全てのポジションで「やや不足」「大幅に不足」との回答が大きな割合を占めました。

人材不足はIT人材においても同様です。2019年をピークにして、退職率が入職率を上回りIT人材の減少が予想されているのです。

事務系・販売サービス系・営業系といった多職種と比較し、人材不足の影響を受けてデジタル人材の求人倍率も高い傾向にあります。デジタル人材の取り合いが過熱化しているのが現状でしょう。各企業の人事採用担当者は、デジタル人材を獲得するための新しい手法やマーケティングに頭を悩ませています。

デジタル人材が求められる背景とは?

そもそも、なぜデジタル人材は各企業から強く求められているのでしょうか。その背景には、DX推進を進める企業が増加していることが挙げられます。独立行政法人情報処理推進機構の調査では、日本におけるDX推進中の企業は2021年度調査では55.8%、2022年度調査では69.3%にも上っていることが分かっています。

中小企業のデジタル化が進まない理由は?なぜデジタル人材を採用できない?

業務フローの改善、新たなビジネスモデルの創出などに必須のデジタル人材ですが、中小企業におけるデジタル化は進んでいるとは言えないのが現業です。なぜ、中小企業はデジタル人材を採用できないのでしょうか。

金銭的な余裕がない

中小企業においてDXの推進チームを立ち上げた場合、新たな人材を雇う余裕はないものでしょう。社内の人材の中でPCの得意な人物やデジタルに詳しいと思われがちな若手社員が選ばれ、現在の業務を兼任しながらのスタートになるはずです。

その際、最初の壁となるのがITの知識不足でしょう。いくらインターネットに精通していたとしても、DXについての専門知識があるとは限りません。独学で学ぶにしても、本来の業務の片手間でマスターできる人はごく少ないはずで、キャパオーバーになってしまうことも十分考えられます。

かといって、就職情報サイトやハローワークなどに登録してITに強い人材を募集したところで、ほぼ応募はないでしょう。あったとしても、面接でITの実力を判断することもできず、採用後のミスマッチは目に見えています。いっそのこと外注するにしても、依頼する側が漠然としている以上、納品されたものを使いこなせない恐れがあり得るのです。

優秀な人材は大企業に流出してしまう

デジタル人材の確保が困難なのは、中小企業に限ったことではありません。大企業でも、社内の人材に再教育(リスキリング)したり、好待遇でデジタル人材を募集したりしています。そのため、たとえ中小企業がデジタル人材の獲得に成功したとしても、より待遇のよい大企業に転職してしまうケースが多いのです。

デジタル人材に必要なスキルとは?

デジタル人材とは、具体的にはどのようなスキルをもつ人材なのでしょうか。デジタル人材に必要なスキルには、次のようなものが挙げられます。

コンピューターの基本スキル

ITの基礎知識は、DX推進の必須条件となるものです。具体的にはWindowsやMacといったOSの基本操作、ExcelやWordなどのオフィスのソフトウェアの使用、Web・アプリケーションについての基礎知識、IoT・AI分野における最新技術についての知識などが挙げられるでしょう。さらに自己の有する幅広い基本スキルの中から、自社の課題にマッチしている技術を導き出す力も必要となります。

基本的なデザインスキル

Powerpointなどを使用したシンプルなグラフィック、プレゼンなどが制作できるレベルのデザインに関するスキルがあることも条件でしょう。

インターネット利用・デジタルツールでのコミュニケーション

検索エンジンの使用法やウェブブラウジングのほか、電子メールやSlackなどのチャットツールを利用したコミュニケーションのスキルが必要です。

データを扱うスキル

基礎的なデータ集計、グラフの作成をExcelやGoogle sheetsなどでできる力が必要でしょう。売り上げや購入履歴のデータなどを、まとめたり把握したりできる必要もあります。

セキュリティ意識

安全にオンライン行動ができる意識や、情報セキュリティの基礎知識も重要です。具体的には、迷惑メールを開かない、安全性の低いWebサービスは使用しないようにするといった判断力のことです。

企画力・リーダーシップ

今まで挙げてきた上記のスキルを持った人は、実はどの中小企業にも当たり前にいるものです。それではなぜ、デジタル化が進まないのでしょうか。

それは、デジタルスキルを持っているだけでなく、現状を変えようとするリーダーシップこそ必要なスキルだからです。現状に対する問題意識をもち、他の従業員への協力を得るコミュニケーション能力や、常に新しいデジタル技術に対応していく学習意欲でデジタル化をけん引するリーダーシップを発揮できる人材を探しましょう。

やりたいことを伝える力

知識豊富な人材だとしても、やりたいことを他の従業員に伝えられなければデジタル化は進まないでしょう。実現したいことがあっても1人だけでは実現は不可能です。他の従業員にも分かるように言語化したり、資料を用意したりして、デジタル化に明るくない従業員にも明確に伝えられる力も重要です。

この力は、社内でデジタル化を推進する際だけでなく、外注する際にも必要となります。とくに中小企業において、全て社内で賄うことは不可能なことが多々あります。外注する際にも、希望の要件や自社の問題点・課題などを的確に伝えなければなりません。

中小企業におけるデジタル人材の育成・確保の準備とは?

大企業も欲しがっているデジタル人材を、中小企業が確保するにはどうしたらいいのでしょうか。新規に採用するだけでなく、社内の人材を育成することも考えられます。デジタル人材を育成・確保する前に、中小企業が準備しておくべき事柄を解説していきましょう。

経営戦略と企業文化の見直し

経営層のデジタルに対する理解不足によって、DXが進展しないことは多々あります。まずは、経営層の意識改革を行い、デジタルに対しての知識を深めていく必要があるでしょう。また、デジタル人材の活躍できる職場づくり、企業文化の見直しから始めましょう。

雇用形態・雇用環境の多様化、充実

経営層をはじめとした既存社員の意識改革の後は、デジタル人材を確保できる環境整備も不可欠です。優秀な人材に見合った給与や柔軟な働き方の導入など、従来までの慣行にこだわらずに改革していきましょう。

組織内外でのリスキリング・資格取得の支援

社内の従業員をデジタル人材に育成する中小企業も多いでしょう。その場合、時には外部で行われる研修も活用するなどリスキリングできる環境を整備することが大切です。

また、デジタル人材を活躍させるには、さまざまな資格が必要になります。5Gやビッグデータ、クラウドや生体認証、AIやIoTなどを活用するには、実にさまざまな資格が必要不可欠なのです。教材の購入や研修、受験など、資格取得のためにかかる費用をサポートするなどして、デジタル人材の育成を補助しましょう。

能力評価の「見える化」

いくら社員のリスキリング環境を整えたとしても、本人のモチベーションがなければ効果は上がらないでしょう。社員の学習モチベーションを向上させるには、能力の「見える化」が考えられます。

現在の自分の能力の位置付けが分かるとともに、何を学べばキャリアアップできるのかを明示すれば、モチベーションを上げられるでしょう。また、能力のある人材をしっかり高く評価できるよう、評価も見える化することが大切です。

タレントマネジメントの導入

「タレントマネジメント」とは、従業員一人ひとりの能力や適性を最大限引き出すため、個人のもつスキルを把握して人事配置を行うマネジメント手法のことです。デジタル人材を新規雇用するのが難しい中小企業の場合、既存社員の育成がポイントになります。DXに取り組むに当たり、組織横断的なタレントマネジメントの導入についても整備を進めましょう。

デジタル人材の流出を防ぐコツとは?

優秀なデジタル人材ほど、中小企業から大企業へと流出してしまいがちなのが現状です。デジタル人材の流出を防ぎ、定着させるには次のようなコツが必要でしょう。

適切に評価し適切に処遇する

高いスキルを持った人材が会社に不満を持ち転職してしまう場合、不満の原因は多くの場合「待遇面」に問題があるようです。自分の持つスキルに見合った処遇を得られない、適切に評価されていないと感じる場合、高く評価してもらえる大企業へ転職してしまうことになってしまいます。スキルの高い人材を、適切に評価し処遇を与えられる上司こそ必要です。上層部の意識改革が急務でしょう。

ワークライフバランスを充実させる

スキルの高いデジタル人材の力に頼りきりになってしまうと、いつかデジタル人材も疲弊してモチベーションが下がってしまうことが考えられます。仕事とプライベートのバランスを取れるよう、労働環境を整備しましょう。社員に健全な労働環境を与えられる企業こそ能力のある人材が定着し、伸び続けていけるのです。

目標管理によるステップアップ

能力・スキルの高い人材こそ、自己のスキルアップにこだわりが強い傾向にあります。常に高いキャリアアップ志向をもつ人材に、そのチャンスを与えられる企業でいる必要があるでしょう。

既存従業員との交流

デジタル人材は会社にとっても大切な存在であり、他の社員より好待遇であることが多いのではないでしょうか。それゆえに他の社員とデジタル社員との間に壁ができ、デジタル人材が孤立してしまうことも多々あるので注意が必要です。いくら待遇がよくしっかり評価してもらえたとしても、人間関係の悪い職場には定着しにくいものです。

そこで既存の社員との交流の機会を定期的に設けるようにして、相互に理解を深められるようにしましょう。

中小企業における「デジタル人材」の考え方とは?

デジタル人材と一口にいっても、実は大企業に必要な高い専門スキルを持ったデジタル人材が中小企業にも必要かというと、実はそうではないのです。中小企業におけるデジタル人材は、どのようなスキル・能力のある人材だととらえればよいのでしょうか。

社内人材の育成が現実的

中小企業において、大企業との競争に打ち勝ってデジタル人材の新規採用を実現させるのは、なかなか難しいのが現実です。新規採用ではなく、既存の社員をデジタル人材として育成していくことになる中小企業が大半でしょう。

その場合、大企業の行っているようなリスキリングも大切ですが、それ以上に大切なポイントがあるのはご存知でしょうか。それは、社内の業務に精通している人材、人望とやる気のある人材にデジタルを学ばせるのです。中小企業のデジタル人材に必要なのは、会社をよりよくするために当事者意識をもって戦略を立て、他の社員をまとめ先頭に立つ力でしょう。

最先端のデジタル人材は不要

中小企業にとって、会社全体をまとめてリーダーシップを取れる人材、会社としての課題・要件、何が足りなくて何が必要なのかを整理して明確に周知できる人材こそが必要だと分かりました。そのような人材にデジタルを学ばせる方が、中小企業では現実的です。

その際に学ぶ内容も、中小企業においては専門的すぎる知識の不要な場合がほとんどとなっています。そこでおすすめなのが、「ノーコード」の学習です。ノーコードとは、プログラムを書かずにシステム作りや変更ができるシステムで、このノーコードのできるツールが、ノーコードツールです。中小企業では、このノーコードツールを使用しながら自社に本当に必要なシステムを設計できる人材こそ必要となります。

ノーコードツールの使用には、プログラミング言語を習得する必要がありません。優秀なデジタル人材の雇用が難しい中小企業にとって、大きな武器になるはずです。ノーコードツールでも、十分にアプリやシステムが作れます。アプリやシステムが作れれば、大幅な作業のスピードアップが実現することでしょう。今まで外部に委託していたような作業も自社で行えるようになれば、劇的に作業スピード、戦略の実行スピードがアップします。また、改善が必要な際にも改善サイクルが速くなり、状況に合わせたスピード感のある戦いができるようになるでしょう。もちろん、開発のコストや外部に委託するコストも下がります。

また、ノーコードと似たものに「ローコード」があります。簡易的なプログラミングこそ必要になるものの、プログラミングと比較して簡単な知識で使いこなせるツールです。ノーコードツールが十分使いこなせるようになったら、ローコードツールに挑戦するのもいいでしょう。

まとめ

中小企業においてもデジタル化は避けては通れないものです。ただしデジタル化を推進させるデジタル人材を新規採用するのは難しいので、社内の人材を育成する方が現実的でしょう。中小企業においては、大企業に必要なITの知識は不要なことが大部分です。リーダーシップを持ち、自社に問題意識をもってデジタル化を推進できる人材を育成していくことがポイントになるでしょう。

お問い合わせ

もしかして『パスワード』がかかっていて読めない記事ありませんでしたか?
実はHIMOTOKUのLINE公式を追加している友達でしか見れない秘密のコンテンツを配信しています!
さらに、LINE公式の友達限定無料個別コンサルも実施中!
お得情報が満載のHIMOTOKU ヒモトクLINE公式アカウントは下記のQRコードから!

↑バナークリックでもOK!