コロナ禍のために不要不急の外出を控えるよういわれたこともあって、オンラインで商品購入する人が増えています。実際国内のECマーケットは年々拡大傾向が続いています。
ECサイト(通信販売・オンラインショッピング)はどの業種でも活用できるツールです。もちろん整体院や接骨院でも、ECサイトの活用はおすすめです。
今回は、ECサイトを導入するメリットやデメリットを解説。さらに整体院や接骨院がどのような商品を取り扱えばよいかについても併せて見ていきましょう。
ECサイトの基本を理解しよう
そもそもECサイトについて、詳しいことはわからないという方もいるでしょう。そこでECサイトとはそもそも何なのかについて、詳しく見ていきます。
ECサイトとは
ECサイトとは、ネット上で商品もしくはサービスの売買できるサイトのことです。「オンラインショッピング」や「通販サイト」「ネットショップ」という言葉を、耳にしたこともあるでしょう。ECサイトもこれらと基本的に同じサービス形態です。
ECサイトの「EC」とは「Electronic Commerce」の頭文字をとったものです。お客さんはインターネットにアクセスして商品をチェックします。そしてめぼしい商品が見つかったら、クリックもしくはタップしてオーダーを出すという形です。商品は宅配便などで自宅はじめ指定の場所に配送されます。
ECサイトで取り扱いできる商品
ECサイトで取り扱っている商品は多種多様です。衣類や日用品・食品、家電はじめ実店舗で購入できるものが考えられます。そのほかにもエステサロンや美容室などの予約、動画や音楽などのデジタルコンテンツといったように、多岐にわたります。
サービス提供の場合、オンライン上で完結できるものも考えられるでしょう。またエステサロンや美容室のようにオンライン上で予約手続きをして、実際の施術はお店に指定された期日に行って受ける形のものも少なくありません。サブスクといって、月額料金を支払えばサービス使い放題のものも出てきています。
実店舗とECサイトを並立してサービスすることも可能です。この場合店舗にあるPOSレジやキャッシュレス決済のツール、予約システム・SNSと連携してサービス提供できます。
整体院や接骨院がECサイトを導入すべき理由
整体院や接骨院の場合、本当にECサイトを導入する必要があるのか疑問に思っているかもしれません。しかし整体院や接骨院のような実店舗を要する場合、ECサイトを開設することで相乗効果が期待できるのでおすすめです。
また実店舗だけでの営業の場合、さまざまな克服すべき課題が出てきます。たとえばお客さんにお店に来てもらう必要があるので、遠方から足を運んでもらうのは難しいでしょう。しかしECサイトであれば、ネット環境さえあればどこからでも注文を出せます。実店舗では無理だった客層にも、ECサイトならアプローチできる可能性があるわけです。
さらにECサイトで、整体院や接骨院の予約システム機能をつけられます。そうすればECサイトでまず予約してから、当日店舗に来てもらって施術可能です。完全予約制でお客さんのプライバシーを保護しながら、整体院や接骨院に通えるわけです。
ECサイトを導入するメリット
整体院や接骨院がECサイトを導入すると、さまざまなメリットができます。新規顧客の開拓が可能で、コロナ禍の接触リスクも低減できるなど、多種多様なメリットがあります。
時間や場所関係なく販売活動できる
ECサイトの場合、ネットに接続できる環境にあれば、場所も時間も関係なく販売可能です。国内はもちろんのこと、場合によっては海外にも販路を拡大できるかもしれません。さらに自分が画面をチェックしていなくても、24時間年中無休で受け付けが可能です。ビジネスチャンスを逃すことなく、着実に利益をあげられるのは魅力です。
自分が休んでいる時でも、ECサイトは無人で稼働できます。つまり不労収入を確保できるのは、大きなメリットといえるでしょう。
非接触の営業が可能
コロナ禍でしばしば言われたのが、感染拡大抑止のためにできるだけ他人と接触しないことでした。このため自粛生活が求められ、不要不急の外出を控えるように呼びかけられました。
ECサイトの場合、ネットを介して商品やサービスの売買を行うスタイルです。接触することなく営業できるので、実店舗のように自粛生活のために、売り上げが急速に下落する心配もなくなります。
また高齢者の中には、足腰が弱くなってなかなかお店に足を運べないという人もいるでしょう。しかし高齢者でもインターネットを使いこなせれば、自宅で簡単に買い物ができます。今まで対象外だった高齢者も客層に加えることで、販売のターゲットを実店舗だけの時と比較して、拡大できるのもメリットのひとつです。
コスト圧縮できる
整体院や接骨院が実店舗営業しながらECサイトも運営するとなると、コスト増大が心配だという人もいるでしょう。
しかしECサイトの場合、店舗を持つ必要がありません。パソコンなど必要なデバイスがあれば、整体院や接骨院の中でも自宅でも営業できます。店舗を持つ必要がないので、家賃や光熱費もかかりません。また人材も必要最小の人数で回していけます。
つまりECサイトの運営と事業拡大しても、そこまでコストが増えません。ECサイトを作成できる無料のツールもありますので、新規事業といっても投資コストは必要最小限に抑制できます。金銭面でのリスクを考えることなく、手軽に事業を手掛けられるわけです。
顧客データを活用できる
ECサイトで商品販売することによって、顧客データを収集できるのもメリットのひとつです。注文するにあたって、お客さんは自分の名前や住所、電話番号を入力しなければなりません。この顧客データを活用すれば、お客さんそれぞれの特性に合わせて販促対策を練れます。
関連商品に関する紹介は、ECサイトならではの施策のひとつです。特定の商品をチェックした人に対して、関連商品をおすすめ提案すれば、購入してもらえる可能性も高まります。結果的にお客さんの単価向上効果も見込めるわけです。
ECサイトを導入するにあたって注意しなければならないデメリット
ECサイトを導入するのは上で紹介したように、さまざまなメリットが期待できます。しかしその反面、デメリットもあります。もしECサイトを導入するのであれば、以下で紹介するデメリットを踏まえ、どう対処するか検討してください。
商品の魅力に関する伝え方
ECサイトの場合、実店舗と違って商品そのものを実際に手にとって見られないのはデメリットです。実際あるマーケティングリサーチ会社が、ECサイトに関する調査を行ったことがありました。その時ECサイトで商品を購入したくない人の中で、約2割が「実物を手に取って確認できないから」という理由をあげていました。
ECサイトで商品を購入したところ「思っていたものと違った」や、衣服の場合「サイズが合わない」などのクレームが発生する恐れが出てきます。できるだけこの手のトラブルを回避するためには、詳細に商品情報を掲載しましょう。画像を複数撮影して、サイトにアップするなどの対策を講じましょう。
時間がかかる
整体院や接骨院のブランド、もしくは取り扱っている商品の認知度が低い場合もあります。その際はECサイトを開設してすぐに、注文が殺到することは期待できません。まずは自社のECサイトを理解してもらうことが優先です。ECサイトの周知徹底を図れば、徐々に売り上げも伸びていくでしょう。
ECサイトを認知してもらうためには、さまざまなメディアを通じて情報発信することが大切です。Web広告やSNSなどのメディアは、整体院や接骨院でも活用できるでしょう。またYouTubeチャンネルを開設するのもおすすめです。そこで整体や骨格に関する情報を発信し「このようなグッズを、オンラインショップで取り扱っています」と、ECサイトをクリックしてもらえるような動線作りも検討してください。
Webに関する幅広いスキルが要求される
ECサイトを自分で運営するためには、Webに関連した広範囲にわたるスキルが要求されます。ECサイトのページ制作や商品の画像、動画に関するスキルは必要です。さらに自分のECサイトを検索結果の上位に表示するための、SEOに関する知識も求められます。ネットでお客さんが安心して買い物できるように、セキュリティ対策に関する知識やスキルも必要です。
このような人材が整体院や接骨院のスタッフにいなければ、ECサイト専門の人材を採用しなければなりません。またアウトソーシングするのもひとつの方法です。ただし外注する際には、簡単なページの修正や新規コンテンツ作成など、自分でできるところは自前で行うなど、コストを圧縮する方策も検討してください。
競合が多くなる可能性も
ECサイトの市場規模は年々拡大傾向にあります。経済産業省が発表した「デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」の令和3年度の調査結果によると、消費者向け電子商取引の2021年の国内市場規模は、20.7兆円に達しています。これは前年と比較して、7.35%も増加しています。
決して無視できない市場規模となっていることが、ご理解いただけるでしょう。そこで整体院や接骨院の中でも、ECサイトに新規進出を果たすところも増えてきています。もしさまざまな整体院や接骨院がECサイトに参入してくれば、厳しい競争の中を勝ち抜いていかなければなりません。
競争に生き残るためには、まずは自社コンセプトを明確にすることが重要です。そしてほかのサイトとの差別化を図って「○○といえばウチ」というイメージを、消費者に植え付ける必要があります。
ECサイトを始めるには?
整体院や接骨院を運営している方で、ECサイトを始めようと思っている人もいるでしょう。ECサイトで商売を始めるためには、いくつか準備しなければならないポイントがあるので、以下で詳しく見ていきます。
必要なものを用意する
ECサイトを運営するためには、まずパソコンやスマホが必要です。スマホの方が携帯していることも多いでしょう。注文や問い合わせがあった場合にスピーディに対応できます。しかしその反面、パソコンでなければ設定できないものも多いので、スマホだけでの運用は厳しいと考えておきましょう。もちろんインターネット環境は必要です。
そのほかにプリンターも用意しましょう。商品を発送するにあたって、納品書や領収書を同封しなければなりません。この時印刷するためにプリンターが必要になるわけです。またお客さんとやり取りをするための専門のメールアドレスを取得しておきましょう。店の問い合わせのものと一緒にすると、多くメールが届き適切に対応できなくなる恐れがあるからです。また専用の銀行口座を開設しておきましょう。代金の振込先の口座として活用します。
商品リストを作る
ECサイトでどのような商品を販売するか、リストをまとめておきましょう。この時商品コードを決めておくのがおすすめです。そうすれば、ECサイト内で管理しやすくなるからです。多数の商品を取り扱うのであれば、カテゴリーでいくつか分けておくと整理されます。
整体院や接骨院の場合、健康に関するアイテムを取り扱うと関連性があるので、商品を購入したいお客さんとの親和性も高いでしょう。健康食品や水分補給のためのミネラルウォーターなどが考えられます。またダイエットなどを売りにしている整体院や接骨院であれば、ファスティングプログラムセットがあります。こちらを取り入れてみるとよいでしょう。
健康のためには十分な睡眠をとることも大事です。そこで寝具を販売するのもひとつの方法といえます。首に負担をかけない低反発の枕を、ECサイトの中に取り入れてみるのも一考です。
健康・美容のためにトレーニングを推奨している、プログラムの中に実際に取り入れている整体院や接骨院もあるでしょう。その場合にはサポーターや着圧ストッキングのようなアイテムをECサイトで販売すれば、顧客が購入してくれるかもしれません。このように自分たちの整体院や接骨院のコンセプトと、相性のよさそうな商品を中心に取り入れてみてください。
販売価格を決める
商品のラインナップが固まったのであれば、販売価格を決めましょう。基本的には経費を考えて、利益の出せるような価格設定にすべきといえます。原価がいくらか、単価でどの程度の利益を出したいかなどをまずは考える必要があります。原価は商品の仕入費だけではありません。商品の配送コストや人件費、家賃・光熱費などその商品を販売するまでにかかる、各コストも取り入れなければなりません。
そのほかにも競合他社が類似商品をいくらで販売しているのか、メインターゲットをどこに据えるかで価格設定も変わってきます。比較的若い世代をターゲットにする場合、あまり高額設定すると商品がどれほどよくても購入できない事態に陥りかねません。このように全体的なバランスも想定して、価格設定する必要があります。
運営者情報を明示する
ECサイトを開設するにあたって、運営者情報を明記しなければなりません。これは特定商取引法でも規定されていることです。販売事業者名である法人名や本店所在地、問い合わせ先の電話番号を明記しましょう。また送料など別途かかる費用、代金の支払い方法なども記載しなければなりません。必要事項をすべてカバーできているか、一回見直してみましょう。
写真撮影する
ECサイトには販売する商品の画像をアップするのが一般的です。でなければお客さんもどのような商品なのか、イメージできないからです。そこで商品をさまざまな角度から撮影してみましょう。ただ単に商品を撮影するのではなく、実際に使っている場面を撮影してサイトに載せるのはおすすめです。お客さんも実際にどう使用するのか、シミュレーションしやすいからです。
撮影する時間帯も意識しましょう。できれば日中、日光の差し込んでくる屋内で撮影するのがおすすめです。照明よりも自然光の方が、商品の実態に近い雰囲気を表現できるからです。スマホで撮影するのも構いませんが、自撮り棒など手振れ対策はしっかり行ってください。
配送方法を決めておく
配送方法をどうするかも、事前に決めておきましょう。小さくて重量のあまりない荷物であれば、メール便を活用する方法もあります。しかしある程度の大きさや重量のあるものであれば、宅配便を活用するのがおすすめです。
また送料をどうするかも決めておきましょう。通販サイトで「送料無料」という文言を見かけたことがあるかもしれません。たとえばお買い上げ金額が一定以上になれば、送料無料にしているECサイトは少なくありません。こちらを参考にしてみるのも一考です。
まとめ
整体院や接骨院がECサイトを展開するのも、新規顧客を開拓する方法としては有効です。整体院や接骨院のような実店舗の場合、アクセス可能なお客さんにどうしても限られます。しかしECサイトであれば、ネット接続できるところなら日本全国、または世界相手に商売も可能です。
ECサイトを開設するための準備や運用のための労力は必要です。しかしビジネスチャンスを生かして、より院を大きくしたいと思っているのであれば、ECサイトの運営は有効な対策のひとつといえます。