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融資の基礎知識!受け方や法人・個人事業主の受けられる融資の種類を解説

融資とは借金をすることであり、事業をするにあたって融資の申し込みをするのはハードルが高いと考える経営者も多いのではないでしょうか。ところが中小企業の多くが、実際に銀行をはじめとした金融機関から融資を受けて資金調達を行っているのです。そこで、融資についての基礎知識を解説していきましょう。融資の種類や受け方、法人や個人事業の受けられる融資の種類などを説明します。融資を受ける際の流れや審査に通るコツも合わせてお話ししていきます。

そもそも「融資」とは何か?

まずは、融資についての基礎知識を解説していきます。融資といえばお金を借りることなのは、ご存知ではないでしょうか。事業を行うに当たって、なるべくお金は借りたくないと考える経営者も少なくありません。それでは融資を受ける意義は、何があるのでしょうか。また、ローンとの違いについても解説していきましょう。

「融資」とは?

融資とは、簡単にいえば「お金を借りること」です。新たに事業を開業したり、現在の事業を拡大したりするとき、まとまった資金が必要になるものです。お金を借りることに抵抗のある人もいるかもしれません。ところが事業においては、事業収益などで自己資金を十分貯めてから新規に開業したり事業を拡大したりできればいいかというと、そうとばかりはいえないのです。資金が貯まるのを待っていたら、開業や新規事業を行うのに最適なタイミングを逃してしまうこともあるからです。

資金を調達する方法としては、補助金を受給したり出資を受けたりする方法もあり、融資はそれらの方法の一つだといえるでしょう。また、一口に「融資」といっても、種類はさまざまあります。次の章では、融資はどのような種類があるのか詳しく解説していきましょう。

ビジネスローンとの違いは何?

事業資金を借りるという点で、融資と似ているものに「ビジネスローン」があります。両者にはどのような違いがあるのでしょうか。

ビジネスローンとは、主に中小企業に向けた事業性の無担保ローンの総称です。銀行など金融機関または消費者金融・信販会社などノンバンクなどで広く取り扱われています。融資を受ける場合、保証協会による保証の必要な場合や初めての融資の場合など、1週間から2週間、長ければ1か月かかることもあるでしょう。

その点ビジネスローンは、金融機関によっては即日融資が可能です。一般的に1週間から2週間程度で融資が受けられるスピード感が特徴です。そのため、急な資金繰りの必要な場合には、ビジネスローンを選ぶ事業者が多いでしょう。

また、ビジネスローンは、原則的に担保や連帯保証人が不要です。その点でも融資と比較して利便性を感じる人が多いでしょう。ただし銀行の融資と比較して金利が高めであり、融資の限度額もあるため、時間に余裕があるなら、ビジネスローンより融資の方を選ぶ事業者が多いのです。

融資の種類とは?どこで融資を受けられる?

融資といえば、銀行から受けるもののイメージが強いのではないでしょうか。ところが実際は、地方自治体の補助を受けての借り入れや国からの融資など、さまざまな種類があるのです。それぞれ特徴やメリット・デメリットが異なるため、融資金額の希望や返済期限の希望などを考えて適切な融資の種類を選ぶといいでしょう。そこでここからは、さまざまな融資の種類について一つずつ解説していきましょう。

政府系金融機関

出資金の大部分を政府の出資している金融機関が、政府系金融機関です。営利を目的とせず、民間金融機関の補完を目的としています。そのため、銀行のプロパー融資を受けられないケースでも、政府系金融機関を活用すれば融資を受けられることがあるでしょう。

とくに、日本政策金融公庫の制度である「新創業融資制度」は、無担保・無保証人の融資でありおすすめだといわれています。日本政策金融公庫にはその他にも、新規開業資金や、若者・女性・シニア起業家に特化した支援資金といったさまざまな融資制度が用意されているのです。また、ソーシャルビジネス支援、農業経営アドバイザー制度など、経営面でのサポートも充実しているのが特徴でしょう。

ただし新創業融資制度は、新規事業者または、事業を開始してから納税申告2期を終えていない事業者のみが受けられる融資であり、融資限度額も3,000万円までと比較的少額なのはデメリットだといえます。日本政策金融公庫のほかの融資と比較して、若干金利の高いのにも注意しなければなりません。

プロパー融資

銀行における一般的な融資が、プロパー融資です。信用保証協会の保証の付いた融資「保証付き融資」に対し、保証の付かない融資をプロパー融資と呼ぶのです。銀行からの融資を受ける際には信用保証協会による保証を求められるものの、プロパー融資は不要であり、銀行からの信頼を得ている事業者の受けられる融資だといえるでしょう。保証付き融資よりも、プロパー融資の審査が通るのならばプロパー融資での融資を受けるのがおすすめです。

ただし銀行からの信用を得るには、長期的に信用してもらえる取引の実績が必要です。また、融資期間も短期間で金利も高めというリスクもあるでしょう。

保証協会付融資(マル保)

信用保証協会による保証の必要な銀行融資を、保証協会付融資と呼びます。審査に通ると信用保証協会が連帯保証人となってくれ、債務者の返済不能になった際に、融資額の80%を債務者に代わって銀行に支払います。

プロパー融資と比べると、手数料の必要になる点はデメリットでしょう。そのためプロパー融資の受けられない場合、またはプロパー融資だけでは融資額の足りない場合に、保証協会付融資を利用するのがおすすめです。

ノンバンクの保証付融資

消費者金融会社や信販会社など、銀行ではない金融機関を「ノンバンク」と称します。ノンバンクはなるべく利用しないに越したことはありません。それでも、銀行や日本政策金融公庫から融資の受けられない場合は、ノンバンクの保証を受け、融資を受けることについて検討しましょう。ただし保証料は、保証協会と比べ高く設定されていることが大部分でしょう。

ノンバンクの無担保融資

「事業者向けビジネスローン」などといった名称で、法人向けまたは個人事業主向けにノンバンクの行う融資があります。審査にかかる時間が短く、急な資金調達の際に便利でしょう。ただし利息は高めに設定されているので注意が必要です。

ノンバンクから借り入れしていることは、勘定科目内訳書を見ればわかってしまい、銀行からの評価を下げてしまうリスクもあるでしょう。そのためなるべくなら、会社としてではなく経営者個人として借入するのがおすすめです。もちろん個人情報を見られればノンバンクから借り入れていることはわかってしまうものの、そこまでチェックされないケースが大部分です。

やはりノンバンクから高い利息で借入するのは、なるべくなら避けた方がベターでしょう。そのため、ノンバンクからの借り入れを検討する前に、まずは税理士に相談してみるのがおすすめです。ノンバンクからの借入以外の方法を提示してもらえるかもしれません。

銀行から融資を受ける流れとは?

実際に銀行から融資を受ける際の手順について、大まかに説明していきましょう。

事前相談・書類の準備

まずは申し込む前に、相談窓口で事前相談をします。事前相談を行えば、その銀行が融資を決定する際どこに重点を置いているか、融資に関する必要書類・情報は何かがわかるのです。

書類提出・審査

必要な書類とともに融資申込書を提出して、正式な申し込みをします。申し込みの案件については、複数名による審査の行われる銀行が大部分です。万が一審査の間に提出済みの書類だけでは審査できないと判断された場合には、追加の資料提出を求められることもあるでしょう。その際には、迅速な対応を心掛けなければなりません。

契約

審査に通過した旨の連絡が入ったら、契約に移ります。契約の際には、金銭消費貸借誓約書などの契約書が複数必要になるでしょう。書類に不備がなければ契約の締結となり、銀行から融資が受けられます。審査時に定めた返済条件の通りに、返済していきましょう。

銀行融資の審査に通るコツとは?

申請すればどのような企業でも融資を受けられるわけではありません。融資に当たっては審査があり、審査基準も銀行によって異なるため、万全の準備が必要なのです。そこでここでは、銀行融資の審査に通るコツについてお話ししていきましょう。

財務状況や事業の健全性をアピールする

銀行側が強く求めるものは、事業や財務状況の健全性です。融資をした途端に経営状況が悪化するようでは、返済が滞ってしまい融資金の回収が不可能になってしまうからです。そのため、信頼できる会社だと健全性をアピールして、審査を通過しましょう。

具体的には、売上総利益・純資産・預金・売掛金・在庫などの資料がチェックされるので、資料作りを万全にしておく必要があります。貸借対照表・損益計算書に不備があっては、いくらビジネス内容自体は魅力的でも、審査を通過するのは難しくなってしまいます。もちろん収益がマイナスの場合は融資が難しいと判断されてしまいがちですが、資料内容に不備のある場合も不利になってしまうので、気を付けましょう。

経営計画作成・返済見通しの提示

創業に当たっての融資を受ける場合は、アピールできるような実績は乏しいでしょう。その場合には事業計画書で収益の見込みや返済の見通しについてアピールしましょう。

経営計画書には、融資額をどのように使うのかという使用用途を記載します。何にいくら必要なのか、具体的かつ詳細に記載して、銀行側に納得感を与えましょう。

さらに返済の見通しが十分立っていると示すことも重要になります。いくら返済できるという計画書を提示しても、現実味がなければ納得させられません。事業計画書・資金繰り表を作成して、予定される収益や返済の見込みを客観的に提示できるように準備しましょう。

個人事業主が融資を受けるための基礎知識

個人事業主とは、組織に属することなく個人として事業を営む人のことです。税務署に開業届を提出し、従業員・専従者のいる場合であっても、法人化していないなら個人事業主となります。開業届を提出せずに、法人としての登記もせず事業を行う場合も、個人事業主に含まれるでしょう。このような個人事業主も、法人と同様に融資を受けられます。

法人よりも個人事業主の方が、なるべく借金したくないと考える傾向にあります。ところが実際は、資金を借り入れること自体は決してネガティブにとらえることではないでしょう。融資を受ければ事業が拡大でき、緊急事態に資金ショートを起こすリスクも回避できるのです。そこでここからは、個人事業主が融資を受けるに当たっての基礎知識をお話ししていきましょう。

個人事業主が融資を受けられる条件とは?

個人事業主が融資を受ける条件は、原則として開業届を提出していること、確定申告をしていることが挙げられます。ところが開業届を出しておらず、確定申告をしていない場合も、必ず融資を受けられないわけでないのはご存知でしょうか。実際に日本政策金融公庫では、昨年の業績などを提示すれば審査が受けられるようです。それでもやはり、確定申告していないと、融資を受けるのは相当ハードルの高いことには変わりありません。

個人事業主が融資を受けるタイミングは?

個人事業主が融資を受けるタイミングで、もっとも多いのは開業するタイミングでしょう。店舗・事務所の設立や準備資金、電気・電話などの設備費用など、開業に当たっては多くの初期費用が必要です。さらに、開業当初は売り上げが入金されるまでの間、光熱費・家賃など当面の必要経費をまかなう資金も必要でしょう。自己資金や親族などの資金を頼りにそれらでやりくりする個人事業主も多いものの、それらの資金は緊急時に取っておいた方が良いとも考えられます。

事業の規模や内容を拡大するタイミングでも、融資を受ける個人事業主が多いでしょう。資金が貯まるのを待っていては、事業拡大にベストなタイミングを逃しかねません。融資を活用して拡大できれば売り上げも伸びる可能性が高いので、融資について柔軟にとらえて利用するといいでしょう。

法人と比べて個人事業主は融資を受けにくいのか?

法人と比較して、企業としての規模が小さいことの多い個人事業主は信頼を得にくく、融資が受けにくいイメージを持っている人は多いかもしれません。融資を受けるためにも、法人化した方が良いと聞いたことのある人も多いのではないでしょうか。実際は、そのようなことはありません。

大切なのは、法人化することではありません。事業計画がしっかりしていて、財務状況もきちんと把握し、必要書類を確実に用意できる個人事業主なら、融資を受けるに当たっての信頼感は得られるでしょう。とくに開業時においては、個人事業主か法人かで融資の受けにくさに違いはないといわれています。

個人事業主の受けやすい融資の種類とは?

個人事業主の利用しやすい融資制度といえば、日本政策金融公庫の融資が挙げられるでしょう。個人事業主のもっとも利用している公的融資窓口だからです。開業資金・事業拡大のための資金だけでなく、自然災害などの非常事態が発生した際にも融資を受けられるため、心強い存在でしょう。近年では、新型コロナウィルスによって打撃を受けた多くの個人事業主が、日本政策金融公庫より融資を受けていました。

また、自治体・指定金融機関・信用保証協会が三者協調によって融資を行う公的制度である「制度融資」も、個人事業主向けでしょう。自治体によっては、保証料を補助したり利子の補給を受けられたりもします。三者が関わるため審査にかかる期間が長くなりがちなのはデメリットですが、利子補給を利用できれば日本政策金融公庫よりも低金利で融資を受けられるケースも大いにあるでしょう。

銀行や信用金庫・信用組合からのプロパー融資、または信用保証付融資も、法人同様に個人事業主が利用できる融資です。ただし個人事業主は法人と比べて融資額は少額であり、日本政策金融公庫または制度融資で対応できることがほとんどでしょう。

まとめ

融資は、法人だけでなく個人事業主も利用できる制度です。借金をするのに抵抗のある経営者もいるかもしれませんが、開業資金や事業拡大資金などに有効活用すれば、今以上の利益を上げ事業拡大させていくことも夢ではありません。ただし、融資を受けるには審査に通らなければなりません。返済についても計画し、経営の安定していることもアピールしましょう。また、融資を受ける先によって借入できる額や融資を受けられるスピード感が異なります。融資を受ける先についてどこにするかも、事前に検討してみましょう。

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