様々なマーケティング手法の中でも根強い固定の顧客を獲得可能となるのが「ファンマーケティング」です。集客において離脱が課題となるなか、それを防ぐための手段としても効果的となります。
そこで今回は「ファンマーケティング」の手法や、メリットとはなにかについてご紹介いたします。
ファンマーケティングとは
ファンマーケティングというのは、その名の通りファンを獲得することによって、売上の拡大を図るマーケティング手法の一種です。ファンというのは企業や商品に、強い愛着を持ってくれている顧客を指します。一般的にロイヤルカスタマーとも呼ばれています。
優良顧客を混同してしまいがちなものの、決定的な違いとなるのは「愛着を持っているかどうか」です。愛着を持ちながら継続的なサービスの利用や商品の購入をしてくれる顧客こそが、ファンという定義となります。
従来のマーケティングと比較した場合に、どのような違いがあるのかという点をみていきましょう。大きく分けて3つの視点にて、それぞれ以下のような違いがあります。
顧客の獲得や認知
まずは新たな顧客を獲得するために、認知をしてもらいそのうえで、顧客が生まれるという流れになります。従来のマーケティングの場合には、広告が最も一般的な手段です。Webやコマーシャル、交通広告などにより広く浸透させていきます。ファンマーケティングの場合には、ファンの口コミがメインとなります。
企業や商品、サービスなどに愛着を持ってくれているファンの口コミは、実体験などを交えて多くの方に伝わりやすいのが特徴です。企業による発信ではなく、実際に体験した人の感想となります。信頼性が高いと捉えてもらえるのが、大きなポイントでしょう。
利用継続・リピート率の向上方法
新規顧客がその後利用を継続してくれる、リピートしてくれることも企業にとっては重要な部分です。従来のマーケティングにおいては、企業によるお知らせや情報発信、クーポンの発行などにより定期的にアプローチを行います。
一方ファンマーケティングでは、ファンがリピーターそのものです。ファンを獲得することが、リピート率などにダイレクトに反映します。またファン同士で商品やサービスの活用法をシェアするなど、企業の手を離れたところでリピーターや、利用継続が発生しやすい構造となるのです。
商品の開発
商品開発は当然顧客のことを意識しつつも、企業目線で行われることになります。企業がよいと思うものを、世の中に提供するというイメージです。ところがファンマーケティングの場合、ファンのことを第一に考えた商品開発となります。深い愛着を持ってくれているファンが求めているものや、より愛着を深めてくれるように、利用者の目線で商品を開発します。
ファンマーケティングのメリットとは
ファンマーケティングで気になるのは、どのようなメリットがあるのかという部分でしょうか。代表的なメリットとしてあげられるのは、以下の3つとなります。
安定した売り上げ基盤の確立
1つ目のメリットは「安定した売り上げ基盤の確立」です。企業によって新規獲得が第一の課題となりますが、その後の継続顧客の維持や確保も、難しい部分でしょう。従来のマーケティングでは、新規顧客と継続顧客は分けて考えている傾向にあります。
しかしファンマーケティングでは新規顧客=継続顧客となります。新規顧客の獲得が、そのまま継続顧客を獲得することになるのです。継続顧客が増えることにより、売り上げの安定化に繋がります。また単なる継続顧客ではなく、愛着を持ってくれているというのがポイントです。
たとえばあるタイミングで他者による、類似の商品やサービスが登場した場合もあるでしょう。ファンであればそう簡単に離れてしまうことはありません。愛着の有無による決定的な違いは、そこにあるのです。
口コミによる新規顧客獲得
2つ目のメリットとして「口コミによるファン候補となる、新規顧客獲得」があげられます。現代ではSNSが私たちの生活に深く浸透しています。マーケティングにおいても、SNSの利用は不可欠です。そこで強力なのがファンによる口コミです。
SNSでたまたま見かけた商品やサービスに関するレビューをきっかけに、購入や利用を始める顧客も少なくありません。その顧客がまたSNS上で口コミを投稿し、その投稿を見た方が新規顧客となるという、相乗効果に期待ができます。インフルエンサーがファンの場合には、その効果は非常に強力です。インフルエンサー自体にもファンがいるため、そのままスライドで商品やサービスのファンになりやすいのです。
フィードバックを得られる
フィードバックが得られるというのもメリットです。商品やサービスにはフィードバックが非常に大切といえるでしょう。企業としては自信を持って発表しているものです。しかし実際に使用し利用したユーザーが、どのように受け止めたのかは、改善における重要なポイントとなります。
また企業目線では到底思いつかないような発想が、ユーザーから生まれることも少なくありません。それがファンであると、深い目線でのフィードバックとなるのです。よいものも悪いものもしっかりと受け止めて、改善や改良につなげることにより、さらなるファンの獲得に結びつくでしょう。
ファンマーケティングを成功させるためのコツとは
企業にとって大きなメリットが多いファンマーケティングには、成功させるためのコツがいくつか存在しています。これからファンマーケティングを実践しようという企業の方は、ぜひ以下のコツを参考にしてください。
ファンとのコミュニケーションを密に行う
1つ目のコツは、「ファンとのコミュニケーションを密に行う」です。ファンを獲得し獲得したファンを離脱させないために、コミュニケーションは欠かせません。
たとえばツイッターにおいて企業が発信した投稿に対して、ついたコメントに「いいね」をするなどがあげられるでしょう。エゴサーチも効果的です。商品やサービスに関する投稿に対して、積極的にリアクションを行いましょう。たったそれだけのことでも、好感をもってくれる方が多いのです。
ファン同士のコミュニティを設ける
ファン同士のコミュニティを設けることも大切です。ファン同士が交流することにより、ファン同士のつながりが強くなり、そこで新たな発見が生まれることに期待ができます。個々のファンでも効果があるものの、交流できる場があることにより、さらにファンマーケティングの真価発揮につながるでしょう。
コミュニティサイト開設や、ファンミーティングの開催などが具体例としてあげられます。
目的によってSNSを使い分ける
SNSを目的に合わせて使い分けるというのもコツです。それぞれのSNSには特徴があります。情報発信+ファンとの交流を目的とするのであるなら、Twitterがおすすめです。企業や商品・サービスのブランディングや世界観の共有が目的であるなら、Instagramです。すべてのSNSで同一の投稿をするのではなく、明確に使い分けをすることがポイントとなります。
まとめ
企業に対して深い愛着を持ってくれる顧客を作り出すことが、ファンマーケティングにおける最大のポイントです。それにより離脱を防ぎ、さらなるファンを獲得することにつながっていきます。また企業としてもリアルな反応を把握できるうえに、安定した売り上げに結びつくため、非常にメリットが大きいのです。
即効性はないものの、地道な取り組みによりファンを獲得することで、企業として硬い地盤を形成できます。長期的な目線で考えるとメリットが大きいマーケティング戦略なので、早速取り入れてみるとよいでしょう。