昨今、あらゆる場で「TikTok売れ」という言葉を耳にする機会が増えてきました。しかしその現象はつい最近起こり始めたばかりで、まだその内容や詳しい事は知らないという人も少なくはないでしょう。
ここでは、TikTok売れという現象がどのようなもので、それがどのような理由で起きるのかを紹介します。
TikTok売れとその事例
SNSは何もTikTokだけではありません。TwitterもあればInstagramもあります。けれどもTikTok以外で商品が大人気となり、大きく売れる現象を表す言葉に登場するプラットフォームはあまりありません。
では、最近注目されているTikTok売れとはどのような現象で、どのような商品が実際に売れたのかの事例を紹介します。
TikTok売れという現象
日経トレンディ・日経クロストレンドが発表した「2021年ヒット商品ベスト30」で1位となったのが「TikTok売れ」という言葉でした。
「TikTok売れ」とは、TikTokを通してユーザーが商品を知ってそれを購入し、その人がさらに紹介していく事で、その商品がバズる現象の事をいいます。
スマホユーザーに対して、SNSによる販売促進が通例になっている現在、その主流派はInstagramだったりYouTubeだったりするでしょう。多くの企業もそれらに着目して、何も目新しい手法ではなくなっています。
それに対して、TikTokによるマーケティングは、まだ参入している企業は少なく、PRしやすい状況です。それだけにコンテンツによってはその内容が目立ち、バズる要素も秘めているのです。
TikTok売れの実例
TikTok売れをした商品は存在します。ここでは、いくつかの商品を紹介します。
まずは「地球グミ」です。これは地球を表した「プラネットグミ」というお菓子で、それを食べて見せるTikTok動画がわかりやすく、多くの人に視聴され広がりました。
次に小説「残像に口紅を」です。これは書籍をTikTokで紹介をしていた「けんご」さんがこの小説を紹介した、たった30秒ほどの動画がきっかけです。この本はすでに初版から30年が過ぎていたことも驚きでしょう。作品の紹介らしく、テロップをうまく使用し、余韻も残す紹介でした。それが視聴者の購買意欲を高めたといえます。
そして、大塚商会の「ファイブミニ」です。これは食物繊維が豊富に含まれている、手軽に飲める飲料です。この広告動画がきっかけで、この商品の売り上げが倍増しました。この商品は1988年に発売されました。それをTikTokで宣伝したところ、年代的にその商品を知らない10代のTikTokユーザーが「かわいい」と反応したのでした。
TikTok売れが起こる理由
TikTok売れは時として起こります。けれどもこれに匹敵する他のSNSのケースでは、とりわけここまでは聞きません(実際、TikTok売れにあたる別のプラットフォームでの用語はありません)。それは、TikTokに独特の要因があるからなのです。それではなぜTikTok売れが起きるのか、その原因や背景についてまとめていきます。
TikTokで商品を買う人が増えた
もともとTikTokは、ダンスをする人を撮って、それを流していたイメージが大きいでしょう。しかもそのユーザーは10代の若年層。ところが、だんだんとそれ以外の人たちが違った用途で利用をし始め、現在は幅広く利用され、コンテンツも多様化してきました。
当然ながらその中には企業が商品を宣伝するというケースも見られ、それをみたユーザーが商品を購入するという流れもできてきました。必然的にその人の数は増えていきます。ユーザーの年代層が上がることで、消費する金額も上がりました。
最後まで動画を見てもらえる
動画を配信するプラットフォームは他にもありますが、たとえばYouTubeでは動画の長さは数分間~数十分間が一般的です。長いために途中で飽きられて離脱される可能性も高いでしょう。
それに対してTikTokでは長くても30秒ですので、ほぼ最後まで動画は見てくれます。また、どの動画も短い事で、ユーザーが視聴できる動画の本数が格段に多くなります。そのため企業としてはそれだけ多くの人に宣伝動画を見てもらえるチャンスが高くなるのです。
海外の人にも伝えやすい
TikTokは文字などの要素が少なくて済むので、言語を気にせずに海外のユーザーに商品やコンテンツの魅力を伝えることが可能です。そのように見ただけでわかるものや見ていて面白いと感じるもの、海外の人に日本のものという魅力を与えやすいもの、逆に海外の人の感覚に合ったものを発信できるので、海外の人をも取り込んだマーケティングを実現できます。
アルゴリズムで属性の近いユーザーに見てもらえる
TikTokにはその特徴といえる動画アルゴリズムが装備されています。これは、そのユーザーが過去に視聴した動画に近い動画をおすすめで選ぶ機能です。ですから、TikTokが提供する動画は、そのユーザーが「好きかもしれない」動画なのです。
TikTokでアップロードした商品の宣伝動画を見た人は、それに近いものを過去に見たか、その商品に関心を持っている可能性が高い人といえるでしょう。ですから、やみくもに宣伝をするよりも効果的です。
潜在層を刺激するコンテンツ
商品の購買を促すTikTokに対するSNSのプラットフォームといえば、Instagramがよく挙げられます。これら両者の商品に対するユーザーの立場が異なるのです。
Instagramでは、すでに商品の存在を知っている「顕在層」であるのに対して、TikTokの場合は、その商品の存在を知らずに目にする「潜在層」なのです。その潜在層が暇つぶしにサッと動画を見て、刺さる時があります。それで新しい顧客を生み出すことができるのです。
TikTokによる宣伝の注意点
TikTokによる販売や広告にはメリットも多く存在し、事実大きく収益に結び付けることができる方法であることがわかりました。けれどもその反面、TikTokを利用するうえで注意が必要な事もいくつかあります。その注意点について、以下にまとめました。
端的なメッセージと高いセンスが必要
TikTokを見るユーザーは、短い動画をてきぱきと見て、どんどん次へ行ってしまいます。商品の紹介もじっくりとは見てくれません。短い時間に端的な刺さる言葉を選ぶ必要があり、ビジュアル的にもつい見てしまう引っかかるものを用意しなければなりません。テンポも悪かったら二度と見てもらえないでしょう。このように、ユーザーの感覚をよく知った上で投稿する必要があります。
飽きられやすい
ユーザーは目まぐるしく変化する流行に敏感です。バズったものもいずれは下火になります。また、それはタイミングを逃すと「古いよね?」と見向きもされないという事も意味しています。ですから、流行の動きを敏感に見る力と、それに迅速に入り込んでいくスピード感が必要です。また、次から次へ新しいコンテンツを生み出せる創造力も必要です。
まとめ
TikTokは新たなビジネスを展開できるプラットフォームであり、今はまさにその市場が広がっている最中です。その背景にはTikTokのユーザーの特徴や、TikTok自体に組み込まれたシステムが背景にありました。そしてTikTokは、ビジネスを展開するうえで適切なマーケティングが展開することが可能であり、その成果がこれから十分期待できるプラットフォームなのです。