SNSが普及している昨今では、消費者のリアルな意見を伝える「UGC」の重要性が高まり続けています。
購買行動に大きな影響を与える「UGC」は、SNSマーケティング活動を行う際にはぜひ知っておきたい単語です。今回は、UGCの重要性やSNSマーケティングとの関わり、UGCを活用する際のポイントを詳しく解説します。UGCの活用を始めようと検討中の方は、ぜひとも参考にしてみてください。
UGCとは
UGCとは、「User Generated Contents」の略です。企業ではなく、消費者であるユーザーによって生み出されるさまざまなコンテンツのことを指します。
例えば、TwitterやInstagramをはじめとしたSNSに投稿された動画や写真、ツイート、さらには「食べログ」などのレビューや掲示板への書き込みもUGCに含まれます。
UGCと混同されやすいワードの1つが「CGM(Consumer Generated Media)」です。CGMはユーザーが情報を投稿することで形成されるメディアのことを指します。具体的には、口コミサイトやレシピ投稿サイトが含まれます。
UGCの重要性とは?
昨今UGCが重要といわれているのは、なぜなのでしょうか。主な理由を2つ紹介します。
信頼度の高さ
「ニールセン デジタル・コンシューマー・データベース2019 (Nielsen Digital Consumer Database 2019)」の調査によると、30代以下の購買行動として「オンラインに投稿された消費者の意見」の信頼度は、2017年から2019年度で12%も上昇していることが分かっています。
昨今はネット広告に対して、煩わしさや不信感を抱く消費者も少なくありません。そういった状況の中で、同じ消費者であるユーザーの投稿は「信頼できる」情報として重要度が上がってきているのです。
消費者の購買意欲喚起に最適
「Instagramに投稿されていた料理の写真を見て、タグ付けされた飲食店に行きたくなった・実際に行ってみた」という経験は誰しも体験したことがあるはずです。
米国で実施されたアンケートでは20~30代の53%が「UGCが購買活動に影響を及ぼした」と明言していることが分かっています。SNSを通じて商品の情報を得て、購入した後は自分もその商品の写真をSNSに投稿する、そしてそれを見た誰かが同じ商品を購入する…という購買意欲を喚起するためのサイクルが、UGCを通じて形成されているのです。
UGCとSNSマーケティングの関係
「SNSマーケティング」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。SNSマーケティングとは、FacebookやInstagram、TwitterなどのSNSを活用し、集客や購買意欲の上昇を図るマーケティング活動のことを指します。
スマートフォンの普及に伴い、消費者のSNS利用率が上昇し続ける現在、SNSの活用は企業のマーケティングにおいて非常に重要でしょう。とくにUGCはSNSへの投稿が大半を占めており、SNSマーケティングを行う上では無視できない存在です。
たとえば、企業のSNSアカウントにおいて一方的に情報を発信するだけではなく、RTやハッシュタグを利用しUGCを通じて消費者とつながることも効果的な戦略です。また、SNS上のUGCを収集し、消費者のニーズを的確に把握することも商品の開発において有効といえるでしょう。SNSマーケティングを行う際には、目的に合わせて効果的にUGCを活用してみてください。
UGCを効果的に活用する際のポイント
では、実際にUGCをマーケティングの場で活用する際には、どのようなポイントがあるのでしょうか。今回は、主に2つのポイントを解説します。
UGCが有効なサービス・商品を見極める
すべての商品が、UGCを活用したSNSマーケティングに適しているわけではありません。たとえば、ダイエットや薄毛治療、整形などのコンプレックスを解消するためのサービスである「コンプレックス商材」は、ユーザーが積極的にSNSに情報を発信しない傾向があります。
また、個人ではなく企業を顧客にしているBtoBサービスもUGCが活用しにくいサービス・商品にあたります。
宣伝したい商品がUGC生み出しやすいかどうかという点は、UGCを活用する際に押さえておきたい重要なポイントです。
UGCを話題にしやすい環境づくりのポイント
UGCは基本的に企業ではなく、消費者であるユーザーが作るものです。企業側がUGCを活用する際のポイントは、ユーザーが「話題にしやすい」環境を作ることなのです。とくに、企業側の目的に合った話題作りを提供することが重要なポイントになります。
以下では、具体的な方法を紹介します。
ハッシュタグの用意
SNSはハッシュタグを効果的に使用することで、同じ興味関心を持つ人の目にとまりやすくなります。商品について投稿する際に、ユーザーが簡単に活用できるハッシュタグを用意することで、ユーザー間の話題になりやすい環境を作ることができます。事前に企業の公式アカウントなどで、ハッシュタグを提示しておくことがポイントです。
キャンペーンの開催
多くの人に商品・サービスについて知ってもらいたい場合には、SNS上でのキャンペーンの開催も効果的です。フォローとRTで気軽に参加でき、拡散力も期待できます。短期的に効率よくUGCを創出したいという企業に向いています。新商品の発売や周年記念、季節のイベントに合わせて実施することがポイントです。
インフルエンサーにPR投稿の依頼
商品・サービスの価値を知ってもらいたいという企業におすすめの施策です。商品を実際に使っている人の声はUGCの創出に有効な上に、知名度の高いインフルエンサーに依頼をすることで人々の話題にも上がりやすくなります。InstagramやTwitterへのレビュー投稿はもちろん、より詳しく商品について知ってもらいたい場合には、YouTuberにレビュー動画を依頼することも効果的でしょう。
シェアしたくなる体験
商品自体で話題になることももちろん重要ですが、消費者がSNSに投稿したくなるような印象的な体験を企業側が演出することも重要なポイントです。商品を箱から空ける「Unboxing Video(開封動画)」は、お手軽にできる「体験」の1つでしょう。ユーザーに「シェアしたい!」と思わせる工夫が、UGCの創出につながるのです。
UGCを活用する際の注意すべきポイント
UGCを活用した「SNSマーケティング」を行う際に注意すべきポイントを2つ紹介します。
著作権
UGCの著作権は、作成したユーザー自身にあります。そのため、企業がSNSマーケティングの一部としてUGCを活用する際には、投稿したユーザーに使用の許可を得ることが原則です。
事前に二次活用の許諾を得ている場合は除きますが、基本的に無断利用は著作権の侵害にあたります。SNSにおけるメッセージ機能やUGC活用ツールなどを使用して、必ずユーザーに許可を取ってから使用しましょう。
薬機法
薬機法とは、正式名称を「医療品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」といいます。医薬品や化粧品を扱う企業は薬機法に従わなければなりません。消費者であるユーザーが投稿したものであっても、企業がそれを広告などに素材として活用した時点で薬機法の対象となります。
SNSでの投稿をUGCとして活用する際には、薬機法に抵触していないか注意する必要があるでしょう。
まとめ
UGCをSNSマーケティングに活用し、成功した企業は多く見られます。それらの企業に共通しているのは、自分たちの目的や課題に合わせて活用の仕方を工夫している点です。
「ベースフード株式会社」という一食で必要な栄養素を取ることができるパンや麺を販売している会社の事例を紹介します。同社は「インスタ映え」ではなく「利用シーンを想像できる」UGCにこだわり、投稿を厳選して、同社のサイトへの掲載・SNSの公式アカウントでの紹介を行いました。その結果、CVRが1.24倍以上に向上したのです。
このように、UGCの活用は目的や課題を明確にし、活用の仕方を工夫することで効果的に使用できます。今回紹介した、UGCを活用する際のポイント・注意すべきポイントなどを参考にしてみてください。