SNSマーケティングで、ターゲットの年齢層を30~40代に設定した場合、次に決めるのは、これから運用していくSNSです。それには各SNSの利用状況を把握し、30~40代が多く利用するSNSを選択する必要があります。
本記事では、総務省がまとめた2020年(令和2年度)における、情報通信メディアに関する調査報告などのデータをもとに、各SNSの利用状況や今後の動向について考察していきます。
他メディアと比較したインターネットの利用状況
2012~2020年の期間で1年ごとのテレビ・新聞・ラジオの各利用時間は、平日、休日共に、ほぼ横ばい状態なのに対して、インターネットの利用時間は緩やかな右肩上がりになっています。1日のインターネット利用時間の平均は、1時間10分から2時間50分前後へと、この8年間で3倍弱も増加している状況です。
インターネットとSNSの利用時間
2020年のみの平日の1日のインターネット平均利用時間を年代別で見ると、最も多いのが20代の4時間15分、次いで10代の3時間44分、30代の3時間8分、40代の2時間40分で、50代、60代と続きます。
このうち、30~40代のSNS利用時間は、女性が29~55分間、男性は21~34分間程度です。利用時間帯については、テレビとインターネットの並行利用者が、17時頃から増え始め、19時頃から21時頃にピークを迎え、その後減少していきます。
各SNSの利用状況と特徴
主なSNSには、LINE・Twitter・Instagram・Facebook・Tiktok・YouTubeなどがあり、各SNSの特徴や利用目的によって、利用率や相性の良い活用法が異なります。それらの情報や近年の利用率の動向もチェックしておきましょう。
LINE
2012年~2020年の8年間、毎年着実に利用率が増加してきており、全世代では90.3%、30代は95.6%、40代では96.6%にも上ります。主な利用目的は、家族や友人などとのコミュニケーションやニュースの閲覧などで、月間国内利用者数は約9,200万人です。
マーケティングの面では、広告やキャンペーン情報などを、極めて多くの利用者にリーチできる可能性を持つSNSと言えます。
利用率は、少しずつ増加してきており、全世代で42.3%、30代は48.4%、40代では38.0%です。月間国内利用者数は約4,500万人で、利用目的として多いのが、リアルタイムでの最新情報の収集や、有名人などのツイート(投稿)の閲覧です。
特徴としては、拡散性や即時性が高いことや、また利用者が気軽にツイートできることから、商品やサービスに対する本音を知ることができ、ソーシャルリスニングにも役立つ点で、商品などの改善に繋がります。
2015年から徐々に利用率が増えており、全世代で42.3%、30代で55.6%、40代は38.7%です。男性の利用率が35.3%なのに対し、女性は49.4%とより多くなっていますが、これは、「インスタ映え」する写真や動画が女性に人気があるからでしょう。また、有名人や芸能人の投稿も多く閲覧されています。月間国内利用者数は約3,300万人です。
Instagramは、拡散力には優れていませんが、他のSNSとの連携を可能にすることで、その弱点をカバーしています。写真や動画に特化しているSNSのため、アパレルや美容、グルメ関係などの商品やサービスをアピールするのに最適です。
利用率は、2015年からあまり増加していませんが、一定の利用者層には定着しています。全世代で31.9%の利用率となっていますが、30代の利用者が48.0%と最も多く、次いで40代の39.0%の順です。月間国内利用者数は約2,600万人です。
Facebookは、実名登録が原則のため、リアルな友人とのコミュニケーションに使われるほか、マーケティング面では、利用者の性別や年齢、居住地などを把握しやすく、精度の高いターゲティングが行えるのが特徴でしょう。ビジネスシーンでも広く利用されており、企業のCSRやプレリリースなど公式情報の発信や、BtoBのプロモーションに最適なSNSとなっています。
TikTok
今最も勢いのあるショートムービー系の媒体で、国内ユーザーで一番多いのが40代男性になります。ダンスやコスメ、歌などの動画だけでなく、ファッションや飲食関係の企業から、様々な企業アカウントも増えてきており、実際に採用へつなげている会社も存在しています。月間国内利用者数は約950万人と公表されていますが、現在も伸び続けています。
YouTube
世界最大の動画共有サイトで、さまざまなジャンルの動画を基本無料で見ることができるため、全世代の利用率が85.2%と高く、幅広い年齢層から人気があります。30代では94.0%、40代は92.0%で、月間国内利用者数は約6,900万人です。主な利用目的は、有名人の投稿や興味のあるコンテンツの閲覧です。
また、自分たちで撮影した動画を投稿して広告収入を得るユーチューバーも話題になっています。活用方法としては、家電やゲームなど、動画で機能説明ができるような商品のアピールに効果的です。
各SNSのコンバージョンの状況
SNSをマーケティングに活用していくことで、企業や商品の認知度・ブランディング・コンバージョンの向上に繋がります。
ブランディングとは、商品、サービスをブランド化させること。そしてコンバージョンとは、SNSの広告や投稿を見た利用者がキャンペーンに参加したり、商品などを購入したりするなどの行動のことです。それでは、各SNSのコンバージョンの状況などについて見ていきましょう。
企業アカウントのフォロー率
トップはTwitterの90%で、その拡散性の高さがうかがえます。次いでInstagramとLINEの80%です。Instagramのおしゃれな写真や動画による感性訴求力や、LINEの高い普及率によるリーチ力の強さがポイントです。さらにFacebookの74%、YouTubeの36%の順となります。
ECサイトでの商品購入率
最も多かったのがInstagramの60.7%で、やはり視覚面での訴求に優れていることが見て取れます。次にTwitterの55.2%、Facebookの54.4%、YouTubeの53.1%、LINEの51.9%と同程度の購入率になっています。
ECサイトでの商品購入に至った理由としては、企業アカウントのキャンペーンやクーポンなどのお得情報や広告を見たという声が多く、次いで口コミやインフルエンサーの投稿を読んだという意見もありました。
まとめ
まず、上記の調査結果をまとめます。30~40代のSNS利用時間が、女性は29~55分間、男性は21~34分間程度で、利用時間帯は19時頃から21時頃が最も多い結果となりました。
そして、SNS利用者が企業アカウントをフォローする最大の目的は、キャンペーンやクーポンなどのお得情報です。
次に、各SNSの特徴を簡潔に、以下に示します。
・LINEは、最も利用者が多く、リーチ力が高い
・Twitterは、拡散性と即時性に優れ、企業アカウントのフォロワーが最多
・Instagramは、感性訴求性が高く、商品やサービスの購入に繋がりやすい
・Facebookは、30~40代の利用者が最も多く、企業の公式情報の発信に最適
・TikTokは、拡散性が高く、初投稿でもバズらせることが可能なので認知拡大に最適
・YouTubeは、動画での機能説明を交えたアピールに最適
国内のSNSマーケティングの今後の動向ですが、2020年におけるSNSマーケティングの市場規模が5,519億円だったのに対し、2023年には約8,947億円になり、さらに2025年には、約1兆1,171億円になると予測されています。
このことから、年々増加傾向にある市場規模に伴い、SNSマーケティングに参入してくる企業も増えてくると考えられます。そのため、SNS利用者にとってより魅力的で参加しやすいキャンペーンや、お得感のあるクーポンなどの企画を定期的に立てていくことが重要となるでしょう。